「自分の限界」は決めなくていい

【50代を後悔している理由10位】自分の可能性を過小評価していた

多くの方が、「『自分はどうやらこの辺りまでだな。50過ぎたし、今更スキルアップや人脈拡大のために必死に頑張らなくてもいいや』と、限界を勝手に決めていた」と、後悔しているのです。

組織の中で思うように出世できなかった人は「無力感」というものを学習しています。そのため「これまでだって大して報われなかったんだから、50過ぎた今から必死に頑張ったところで、自分には大したことできないだろうし……」と、自らを過小評価してしまう傾向にあります。

しかし、私がこれまでの30数年間で出会った経営者や、大手・中小企業の管理職から聞いたのは、「誰が昇進するかというのは、実力よりも『時の運』で決まった」といった話ばかりでした。

「仕事ができれば出世できるというわけではない」
「一人に認められたら7人の敵ができる」

といった話から総合すると、昇進するかどうかの決め手は、実力やスキルよりも運が大きかったのです。上司の好みや、たまたま所属していた事業部が主流か傍流か、だったりするのです。

だからこそ、リタイアした後にその事実に気づいて、後悔するわけです。

たとえば、K田さんは55歳での役職定年時にグループ会社の取締役に就任するのが既定路線のポジションにいたのに、20年以上前に直属の上司に楯突いたことが仇となり、フイになってしまいました。運悪く、たまたまその上司が常務になっており、回ってきた人事案を見て当時を思い出し、握りつぶしてしまったのです。

K田さんがその事実を人づてに聞いたのは定年退職後、自力で再就職先を探していたときでしたが……。

「グループ会社の取締役になっていたら、再就職先を探している現在のような形では“自分の限界”を決めてはいなかっただろう」と、K田さんは語りました。

「自分の年収は適切なのか」を考えよ

あるいは、出世競争のような背景があったわけではないけれど、「長年働いてきて惰性を感じ、いつのまにか『自分の限界はこの辺りだな』と線を引いて、さらなる成長やアップデートの追求、人脈づくりをなんとなく止めてしまった」という後悔も多くありました。

自社への帰属意識というのは厄介なもので、50代以降は、自分の市場価値を知る上での障害になりかねません。

「自分の価値は、本当にこの年収分なのか?」と、疑わなくなってしまうのです。

市場価値以上の年収をもらっている人もいれば、逆に過小評価されてずいぶん低い年収に甘んじている人も少なくありません。

同じ50代でも、年収450万円の人よりはるかに生産性の低い人が年収900万円以上もらっている、なんて話はザラにあります。

逆に、斜陽産業となってしまった上場企業や業績不振の有名企業では、管理職でも年収700万円程度というケースは珍しくありません。成長市場の中小企業や外資に移れば年収が1000万円になるのに、その機会や可能性を知らない人がいかに多いことか……私は皆さんに、ここをお伝えしたいのです。