家飲み重視で自粛ダメージを抑えた

「黒ラベル」のCMである、妻夫木聡さんによる「大人エレベーター」は10周年になります。酒類が売り上げに占める割合が67%と他社に比べても比重が大きいにもかかわらず、打撃が軽微なサッポロHD。7月10日に公表データによると、「黒ラベル」単体の缶商品が好調に推移しており、6月単月は大幅に前年実績を上回っています。1~6月でも前年実績を上回り、ビールカテゴリーの実績を牽引しています。また、「ヱビス」単体は缶商品の実績が全体を牽引し、前年実績を上回っています。

これらは、サッポロHDが2017年の時点で、節約志向で家飲みにターゲットを置いて、小売りへの営業を強化していたことが、今回のコロナでも影響を少なく抑えているのでしょう。また、サッポロは上半期の累計で、第3のビールが35%増える結果となっており、2月に発売した「GOLD STAR」の販売が好調で、ビール以外でも売り上げを支えています。

酒類に頼らない売り上げ構造が功を奏す

歴代のCMで女優の檀れいさんや木村拓哉さんが優雅に登場する「金麦」でしたが、最新版のCMでは石原さとみさんに刷新し、フレッシュさとともにブランド全体の進化を強くアピールする狙いがうかがえます。「ザ・プレミアム・モルツ」の新CMでは、矢沢永吉さんがご自宅スタジオからリモート出演し、「I Wanna Be Loved By You」を弾き語りするといった、余裕とぜいたくなCMで楽しませてくれるサントリー。実は、酒類(40%)よりも飲料・飲食(51%)事業が主軸の売り上げとなっています。食品・飲料は、缶コーヒーのBOSS、伊右衛門、伊右衛門「特茶」などのヒット商品を持っていることからも、酒類に頼っていない売り上げ構造になっています。

また、クラフトビール「東京クラフト ゴールデンエール」がSNSでも話題となっています。「爽やかな甘みと、細かい炭酸、まるでジュースのようだ」「シトラスぽい香りや、白ワインのような香りがする」と缶ビールの写真とともに、自宅からのSNS投稿が話題となっています。クラフトビールの人気が見てとれます。