女性に人気「キレートレモン」の購買層に変化が

「すっぱいものへの許容度が増えている」を感じる商品に、ポッカサッポロの「キレートレモン」がある。サルティンボッカ(イタリア語で「口に飛び込む」の意味)という肉料理があるが、キレートレモンはまさにのどに飛び込むようなすっぱさだ。筆者の事務所近くの自販機にも瓶入り(155ミリリットル)があり、以前から時々買っていた。

提供=ポッカサッポロフード&ビバレッジ
2020年2月21日、レモン事業戦略説明会

「キレートレモンは、1本にレモン1個分の果汁がとれるという健康感から、当初より女性を中心にご支持いただいてきました。最近は男性にも、レモンという素材の受容性が広まっているのを感じます。3月には『キレートレモン ダブルレモン』(500ミリリットルのペットボトル)も発売しました」(ポッカサッポロ広報)

最新の調査(総務省統計局「労働力調査」の3月分結果)でも、「働く女性」は7割を超えたが、消費者心理を研究する筆者としては、以前に比べて「嗜好の違いに男女差や年齢の違いが薄れてきた」と感じている。

レモンに含まれる主な成分には、ビタミンC、クエン酸、ポリフェノールなどがある。クエン酸はレモン、みかん、グレープフルーツといった柑橘類に多く含まれ、爽やかな酸味を持つ。これらの果実はドリンクとの汎用性も高い。

「すっぱい」なら梅も負けていないが……

ところで、クエン酸の持つすっぱさなら、「梅」もそうだろう。直近の梅干しの消費量は1985年に比べて約1.7倍。おにぎりの具として、梅の人気は根強い。「2019年コンビニおにぎり人気調査」(一般社団法人おにぎり協会)によれば、最大手のセブン‐イレブン・ジャパンにおける通年(2018年4月~2019年3月)人気おにぎりの3位に「手巻きおにぎり 熟成仕立て 紀州南高梅」(当時の商品名)が入っていた。

ただ、近年は伸び悩む。総務省統計局「家計調査」による支出額で見ると、約20年前のピーク時(1999年)からは2割以上も金額が減った。

レモンに比べると梅には「中高年向け」のイメージがある。実際に主な購買者層もこの世代が占める。レモンの持つ若々しいイメージが、梅には欠けるのだ。

例えばドリンクやスイーツでも一定の需要はあるが、梅ドリンクや梅スイーツには爆発感がない。裏を返せば、中高年イメージを変えれば活路が拓かれるだろう。