コロナ対策病床は全病床の1.8%
日本には165万床の病床がある(注1)。ちなみにこれは人口あたりで世界最大である(注2)。
注1)厚生労働省HP/平成29年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況
注2)経済協力開発機構(OECD) Data, Hostpital beds
世間ではあまり知られていないが、実は日本は人口あたりの病床数が世界一多い国なのだ。この充実した医療体制はわれわれ日本人にとって非常に心強いものだろう。特に新型コロナウイルスのような新たな脅威が発生した現在のような状況で、病院・病床がたくさんあることの安心感はとても大きいのではないだろうか。
しかし、その一方で実は2020年5月20日現在、国内全病床の1.8%しかコロナ感染対策に回せていないという現実もある。
日本のコロナ感染対策病床は全国で3万1000床しかない。日本の全病床数165万のうちの3万1000床だから、わずか1.8%ということになる。
出典:COVID-19 Japan 新型コロナウイルス対策ダッシュボード
経済活動の休止より病床確保が先ではないか
東京都は4800床をコロナ専門病床として確保しているが、その内訳は「病院・病床」が2000、「ホテルなどの宿泊施設」が2800である。病院ではないホテルなどの施設を勘定に入れても、都内全12万床のうちの4%にしかならない。
これは病床などのハード面だけでなく、医師や看護師などの人材・ソフト面でも当てはまる。筆者の周りの多くの医療関係者に聞いても実際に新型コロナ対策病床で勤務している医療従事者は本当にわずかである。通常人材は病院や病床にセットで雇用されているのだから、これも当然と言えるだろう。
当の医療側がたったの1.8%しか病床を確保できていない、人材も配備できていない。それなのに、そのキャパシティーを超えないように、日本社会全体が史上初めてとも言えるくらいの多大な犠牲を払って経済活動を停止しているのである。これは「圧倒的にバランスが悪い」と言えるのではないだろうか。