日本は人口あたりの病床数が世界一多い国だ。それにもかかわらず新型コロナ患者のベッド数が足りず、一部の患者はホテルや自宅で療養している。医師の森田洋之氏がその理由を解説する——。
病院のベッド
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医療崩壊を避けるための緊急事態宣言発令だったが…

新型コロナウイルスが世間を騒がせて久しい。最近は「医療崩壊」や「オーバーシュート」と言う言葉もマスコミやネット上で多く使われるため、一般の方にもなじみのある言葉になっただろう。それらの言葉は多くの場合、

・医療機関の対応できる許容量を超えたら(=医療崩壊・オーバーシュート)救える命を救えなくなる。
・だから医療機関の許容範囲内に感染を抑える(ピークを抑える)ことが大事。
・そのために学校は一斉休校し、全国民に外出自粛を求める緊急事態宣言を発令せよ。

というような論調で使われる。その結果としてすべての国民の生活を一変させた「緊急事態宣言」が発出されたわけだ。

それなのに、もし医療崩壊・オーバーシュートが起こる前にもかかわらず、患者を受ける側の当の医療機関の側で十分な準備ができていないのだとしたら、それは大きな問題ではないだろうか。