「変化」のないアイデアは意味がない

この中で、アイデアを作る【目的】になるのは「1」と「3」だけです。「2」も「4」も、【目的】とは言えません。

「1」と「3」にあって、「2」と「4」にないもの。それは、『CHANGE』=「変化」です。

アイデアを作るときも含めて何か行動するときというのは、基本的に「現状を変えたい」から動くのです。

「今の事業モデルでは収益が全然上がらない! 『もっと』収益性の高いモデルを作ろう!」
「俺のブログ、全然読まれないなぁ。なんとかして、『今よりも』多くの人に読んでもらえるネタを考えたい!」
「現状では、商品が全然お客さまにリーチしていない! 『より』お客さまに届きやすい商品を作ろう!」

このように、『もっと』『今より』というような「変化」の要素があってはじめて、【目的】として成立するのです。

逆に言うならば、その行動をしても、そのアイデアを実現させても「なんの変化もない」アイデアであれば、それはやる意味がありません。

たとえば、「2」と「4」を見てください。

これ、それを行ったときに何か「変化」が発生するでしょうか? 現実世界に、何か影響を与えるでしょうか?

もしかしたらなんらかの「変化」があるのかもしれませんが、「2」や「4」ではそれがまったくわかりません。

「そういうアイデアを出したところで、なんかいいことあるの?」と怒られてしまいそうです。

そして、そういう【目的】がないアイデアは、なかなか思いつきません!

変化前後の「ギャップ」を意識する

長期的であれ短期的であれ、なんらかの「変化」が現れるものだからこそ、人間は行動するのです。アイデアを考えるときに必要なのも、まさにこれです。

「それを行うと、どういう変化が発生するか」を考えることで、【目的】が明確なアイデアを作ることができるのです。

西岡壱誠『東大アイデア』(マガジンハウス)

たとえば、めちゃくちゃ悪いことばかりやるヤンキーが、ちょっといいことをすると「あいつ、実はいいやつなんだな!」と周りから言われることがあります。ほんの少しだけ善行を働いただけでも、元が悪いやつだったという理由だけで、過剰に評価される――ということです。

つまり、「ギャップ」があるから評価される。変化前と変化後を考えるというのは、「ギャップ」を生むための行為なのです。

変化後の状態がそこまで素晴らしいものに見えなかったとしても、変化前がすごく困難な状態だったら、そこには大きな変化が見て取れますよね?

変化後だけ考えていても、そこにはギャップは生まれません。しかし、変化前を考えることで、ギャップが生まれ、いいアイデアになりやすいのです。

僕が編集をお手伝いしている『ドラゴン桜』という漫画シリーズも、この「ギャップ」がウケている作品です。

もともと頭のいい人が東大に合格する漫画ではなく、偏差値が低い高校生が1年で東大合格を目指す漫画だからこそ、そこには意外性や面白さが生まれるというわけです。

▼東大アイデアPOINT
「それを行うとどういう変化が発生するか」を考えることで、
【目的】が明確なアイデアを作ることができる。
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