30代後半になっても大半の女性は妊娠できる

27から34歳の女性が1年以内に妊娠した率は86パーセント。これが35から39歳になると、同じく1年以内に妊娠した率は82パーセントです。ほかの研究でも似たような結果が出ています。3000人の女性を対象としたデンマークの研究では、35から40歳の全女性の1年以内の妊娠率は72パーセント、排卵日を狙って性交した同年齢グループの女性では78パーセント。30から34歳のグループでは、87パーセントでした。

このデータからどのような事実が読み取れるでしょうか。仮に、すべての女性が高校を卒業すると同時に妊娠に向けた努力を始めた場合、子供ができないのは10人に1人です。20年後、その数字は10人に2人または3人に増えます。しかし裏を返せば、大半の女性は30代後半になっても妊娠できているということになります。

子供がほしいのにできない人にとって、年齢は直接の原因ではありません。まずは3分の1のケースで男性側に理由があることを指摘するべきでしょう。男性の年齢も関係があるのです。残りの3分の2で、女性側に理由が——または理由の一部があります。では、何が問題なのでしょう。

不妊の最大の原因は年齢ではない

不妊の最大の原因は、排卵をコントロールしているホルモンの分泌が不充分であることです。ホルモンバランスが崩れる多囊胞性卵巣症候群が原因のことが多いようです。次に卵管のダメージが挙げられます。これはクラミジアなどの性感染症が原因かもしれません。細菌の侵入によって卵管が炎症を起こし、瘢痕が残ってしまうのです。

エレン・ストッケン・ダール、ニナ・ブロックマン著、池田真紀子訳『からだと性の教科書』(NHK出版)

また、子宮内膜が本来あるべきでない場所で増殖する子宮内膜症も不妊の原因になります。最後にもう一つ、子宮筋腫も妊娠を妨げることがあります。不妊の原因としてよくあるのはこういった疾患やトラブルで、年齢ではないのです。

ただ、年齢が上がるにつれて流産のリスクは高くなります。少し前に説明したように、35歳を超えると流産のリスクは2倍になります。つまり、35歳未満の女性に比べて、35歳以上の女性は流産しやすいといえそうです。

年齢が妊娠する確率にマイナスの影響を及ぼすのは明らかです。また流産や妊娠合併症、ダウン症候群など遺伝子疾患の割合も高くなります。それでも大半の女性は、30代後半にさしかかってからでも“昔ながらの方法”で健康な子供を出産しています。特定の女性が不妊に悩むことになりそうかどうかを統計から予測するのはもちろん不可能ですが、28歳の時点で妊娠を希望したとしても、同じように不妊に悩んだ可能性はあるでしょう。

子宮内膜症や多囊胞性卵巣症候群の疑いを指摘されたなら、あるいはクラミジアに感染したことが何度かあるのなら、“妊活”を始める時期をあまり先延ばししないほうがいいかもしれません。思った以上に時間がかかってしまうことがあるからです。

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