タピオカとフラぺチーノにある6つの共通点
さて、タピオカにも触れつつ共通点を考えたい。2019年11月、筆者は「なぜタピオカは3回もブームを巻き起こしたか」という記事を書いた。そこでタピオカがブームとなった理由について8つあげた。
(2)商品の見た目のかわいさ
(3)ドリンクとスイーツの両面
(4)インフルエンサ―の影響
(5)持ち歩きでも注目度アップ
(6)メディアの報道
(7)アジアンスイーツ人気の歴史
(8)実は茶系飲料
上記の(1)から(6)までは、スタバのフラペチーノに当てはまる。「ウチこそが元祖」というかもしれない。最初に「抹茶 クリーム フラペチーノ」が発売されたのは2001年で、20年近くも前だからだ。
「当時はさいたま新都心店で接客していましたが、それまではコーヒー味のフラペチーノしかなかった時代。お客さんが指名買いで次々に買われ、本当に飛ぶように売れました。商品の準備が大変だったことを覚えています」(中島さん)
期間限定に地域色、“季節感”も欠かさない
スタバのフラペチーノはこの20年、一貫して高い人気を集めてきた。その背景には、「期間限定」や「地域色」で話題を作り続けるというしたたかな施策がある。
例えば、地域文化を全国に発信するため生まれた「加賀 棒ほうじ茶 フラペチーノ」(2018年5月末発売。現在は販売終了)は、石川県加賀地方で親しまれてきた、ほうじ茶にヒントを得た。また、青森県弘前市の「弘前公園前店」のパートナーたちが開発した「エスプレッソ 抹茶 フラペチーノ」(販売終了)もあった。地元の名峰・岩木山をイメージした同商品は「抹茶 クリーム フラペチーノ」にエスプレッソをワンショット追加すると、今でも同じ味わいが楽しめる。
新商品づくりに店舗パートナーを巻き込むことは、「より愛情を込めて販売してくれる」という勝利の方程式だ。
「商品開発の基本は季節性もあります。新生活が始まる春は、恒例の『さくら』をイメージした商品、暑い夏は、のどごしがよくないと重たく感じるので、レモンや桃を用いたジュースや果肉をイメージする商品といったように考えています」(東さん)
筆者は、十数年前に聞いた「抹茶フラペチーノを飲みたいからスタバに行く」と話した女性の声が忘れられない。その前に「昭和のある時代まで、ブレンド、アメリカン、アイスコーヒーで注文の6割がまかなえた」(中堅チェーン店の社長)という話も聞いていた。当時は「女性がコーヒーや紅茶以外の一商品目当てで、カフェに行く時代になったのか」と感じたのだ。