「リフレーミング」でメンバーに暗示をかける

するとDさんは、“人の期待に応えるための行動”ではなく、“自分が今なすべき具体的な行動”を紙に書き出したのです。そして、自分を信じてくれている人の想いを嚙みしめながら、今やるべきことに全力で意識を向けるようになりました。

その後Dさんはケガに苦しみながらも、見事、世界大会で優勝を果たしました。

このときに私がしたのは、「リフレーミング」。言葉のとらえ方を変える方法です。相手が発した言葉を、プラスの意味でとらえるのも、マイナスの意味でとらえるのも、その人の受け取り方次第です。仮にある言葉がその人をマイナスの意味で縛っているのなら、正しい意味に基づいて、前向きな形でリフレーミングすることが、良い結果をもたらすことがあります。

言葉のとらえ方はコントロールできない

言葉を発した側には悪気がなくても、受け取り手がその言葉をどうとらえるかは、コントロールすることができません。いくらプラスの意味で発していたとしても、相手がマイナスの意味でとらえているなら、その時点で言葉のギャップが生じています。

「そんなの、受け取る人がネガティブなだけじゃないか」
「そんなことまで気にしていたらやっていけないよ」

そんなふうに思うかもしれません。たしかに、「相手がどう思うか」ばかり気にしていたら、仕事になりません。ただ、言葉が人に与える影響は多大です。毎日接するメンバーであっても、自分の発した言葉が100%、思惑通りに相手に伝わっているとは限らないことを認識しておいたほうが良いでしょう。

気になる人は、自分がよく使っている言葉を周りの人に聞き、どんな印象を持っているかヒアリングしてみるのも一つの方法です。あなたがプラスの意味で使っているつもりでも、意外とマイナスの意味でとらえられていることがあるかもしれません。もちろん、その逆もあるはずです。

些細なことではありますが、言葉が人の意識に与える影響は大きい。そう感じるからこそ、言葉の使い方には敏感であろうと私も気をつけています。

伝えるだけで満足してしまうリーダーが多い中で、一流といわれるリーダーは「伝えた言葉を相手がどう受け取るか」までこだわっていると思います。

関連記事
一流のリーダーは「で、どうしますか?」と聞く
令和職場で最も許されない女性上司の言動とは
日本企業を蝕む"上から目線"という深刻な病気
いつも上機嫌な人が決して口にしない言葉3つ
動機が「怒られたくない」の人は絶対に伸びない