「すぐやって」と頼んだものが、スタッフから上がってこない。なぜそんなことが起きるのか。スポーツメンタルコーチの鈴木颯人氏は「『すぐ』がどれくらいを指すのか、解釈は人によって違う。言葉の意図をきちんと共有することで、コミュニケーションはスムーズになる」と説く――。

※本稿は、鈴木颯人『最高のリーダーは「命令なし」で人を動かす』(KADOKAWA)を再編集したものです。

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あなたの「すぐ」は5分後? 1時間後?

アスリートを指導する監督やコーチの悩みの多くは、「メンバーが思うように動いてくれない」「話が通じない」といったものです。実はこの問題、相手との「言葉のギャップ」に注目すると、簡単に解決できるケースはよくあります。本稿では、会話の中で生まれる「言葉」のギャップを利用して、相手とより良い関係性を築く方法についてお伝えします。

「打合せ後、すぐ資料を作って提出しますと言ったのに、なかなか上がってこない」

こうしたメンバーの行動に戸惑った経験のある人はたくさんいると思います。なぜこのような事態が起きてしまうのでしょうか。

それは、「言葉の解釈」が人によって異なるからです。たとえばあなたがメンバーに資料を「すぐ提出して」と言った場合、相手はその「すぐ」をどんなふうに解釈すると思いますか? 5分後を想像する人もいれば、1時間後、あるいは翌日ととらえる人もいるかもしれません。ポイントは、「それ自体に正解、不正解はない」点です。