言葉の意図を丁寧に確認するとトラブルを減らせる

経験上、あなたの言う「すぐ」が「1分以内」だとわかっていれば、メンバーは1分以内に行動しますが、発言者の意図を確認しないまま行動すると、大幅な認識のズレにつながってしまいます。たとえばクライアントから「自由に制作して」と言われたとして、予算もスケジュールも仕様もまったく確認することのないまま、自由に制作する人はいないと思います。必ず具体的な目安を確認するでしょう。

鈴木颯人『最高のリーダーは「命令なし」で人を動かす』(KADOKAWA)

どんな人にも、それぞれ独自の感覚や考えがあります。そのため、言われたことを自分の都合や解釈で受け止めるのではなく、「この人はどのような意図でその言葉を使っているのだろうか」という視点を持って接すると、相手の本心が見え、言葉の認識のズレもなくなり、スムーズな関係を築きやすくなります。

「すぐやって」としか伝えていないのに、「5分でできるのに1時間たってもあがってこない!」と怒るのは、ナンセンスなのです。この場合、「緊急だから、今すぐ取り掛かって5分でやってくれないか」と言わなかったリーダーに問題があります。

言葉の意図を丁寧に確認することは、人間関係を築くうえでの「礼儀」と言っても良いかもしれません。最初は「いちいち面倒くさい」と思うかもしれません。しかし丁寧に続けることで、認識のズレを防ぎ、トラブルをなくすことができるようになります。

同じ言葉でも、人によって意味はまったく異なる

私がコーチングを行う際も、相手の「言葉」には細心の注意を払っています。あるとき、コーチングをしているプロ野球選手のCさんから、「小さなことが気になって仕方がない」という相談を受けたことがあります。

通常、このように言われれば「神経質なのかな」「気が小さいのかな」と受け取って、「なぜそんなに小さなことが気になるのですか?」と聞いてしまいがちです。

しかし、当の本人は小さなことが気になる原因を探りに来ているのですから、その質問をしたところで、答えは出ません。まずは、Cさんの言う「小さなこと」が何を意味しているのか、明らかにする必要があります。

そこでCさんに「小さなことって、具体的にどんなことですか?」と尋ねたところ、驚きの回答がありました。Cさんの言う小さなこととは、「毎日の些細なルーティンができていないこと」を指していたのです。私はそうした内容を指しているとは思っていませんでした。