※本稿は、鈴木颯人『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)を再編集したものです。

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人数が増えるほど、1人が出す力は減る

人のパフォーマンスについて面白い実験があります。フランスのリンゲルマンが行なった、「リンゲルマンの綱引き実験」です。これは被験者を「1人」「2人」「5人」「8人」の4パターンのグループに分けて綱引きをさせ、その牽引力を測定したものです。すると、次のような結果になりました。

1人——63キロ
2人——118キロ
5人——160キロ
8人——248キロ

これを1人あたりの力に換算してみると、それぞれ次のようになります。

1人——100%
2人——94%
5人——51%
8人——49%

どうでしょう。何か気づきませんか? そうです。集団の分母が増えれば増えるほど、1人あたりの力が減っているのです。この実験から、一緒に作業するメンバーの数が多ければ多いほど、1人あたりの発揮する能力が低下することがわかります(リンゲルマン効果)。

つまり、人は組織にいると、自分では100%の力を出しているつもりでも、無意識のうちに力を抑えてしまうということ。仮に8人以上の従業員がいる企業で働いているとしたら、あなたは本来の半分程度しか能力を発揮していない可能性が高いのです。それはメンバーも同様です。