「目標設定」はアクセル、「思い込み」はブレーキ

目標設定がアクセルのようなものだとすれば、「思い込み」はブレーキのようなもの。せっかくメンバーがアクセルを踏み込んだのに、リーダーの「思い込み」によってブレーキがかかってしまうのは、もったいないことです。リーダーは、部下がどうすればアクセルを踏めるようになるかを考えるべきです。

あるアイスホッケー選手のEさんは、「人から怒られたくない」という気持ちを抱えながら競技をしていました。周りのことを気にするあまり思い切ったプレーができず、ベンチ要員に甘んじていたのです。

最初は純粋にアイスホッケーが好きで始めたEさんでしたが、成績が上がるにつれ、いつのまにか「周りにがっかりされないプレーをすること」が目的になっていました。派手な活躍はできないのと引き換えに、何も責められずに済むことに対し、無意識に保険をかけていたのだと思います。これでは、せっかくの能力も発揮されません。

本当の理由は、聞いてみないとわからない

そこで私は、Eさんの思い込みが何なのか、聞いてみることにしました。まずは「どうして周りにがっかりされないプレーをするのですか」と聞いたところ、彼はこう答えました。「応援してくれる人の期待に応えたい」と。

「どうして応援してくれる人の期待に応えたいと思うのかな?」と私が聞くと、「期待を裏切って悲しませたくないから」という意外な答えが返ってきました。

よくよく聞いてみると、Eさんは幼少期、親に結果が出たら褒められ、結果が出ないとがっかりされてきたと言うのです。私はEさんの、親のがっかりする姿を見たくないから保守的なプレーをするというその姿勢に驚きました。彼を保守的なプレーに駆り立てているのは、怒られた経験ではないかと、私自身が思い込んでいたからです。

そこで私は、Eさんの思い込みを揺さぶるような質問を投げかけました。「人をがっかりさせたくない、と思い続けると、どんな人生になると思いますか?」と。