お客さん出身のスタッフがブランドを支えている
かつてファッションエディターからは「ジャパンイマジネーションの最大の特徴は“店長産業”」と教えてもらった。現在もその色合いは残る。SHIBUYA109店の諸富店長は、学生時代からセシルを愛用した。店舗スタッフの多くは、元顧客だ。
セシルの強みは、この顧客起点だろう。もともと木村氏の経営哲学も「私はファッションのことは分からない。分からないから、くわしい人に任せる」だった。
筆者が時々思い起こす言葉がある。リクルート在職中に『じゃらん』や『フロム・エー』などの新雑誌を立ち上げた、くらたまなぶ氏(あそびとまなぶ代表取締役)の著書の一節だ。
「『人の気持ちを知ること』。これがマーケティングの日本語訳で間違いないと思った。(中略)まずは『人の気持ち』を徹底して集めることが重要だ」(出所:『リクルート「創刊男」の大ヒット発想術』日経ビジネス人文庫)
セシルマクビーが今回掲げた「今の私にちょうどいい」を商品で体現するには、「人の気持ちを徹底して知ること」だろう。もちろん担い手は本部ではなく、店舗スタッフになる。