楽天市場で2021年から3年連続売上1位となっている炭酸水「ZAO SODA」をご存じだろうか。1本60円以下という圧倒的な安さで、EC市場を席巻している。なぜそこまで安いのか。安かろう悪かろうではないのか。飲料メーカーを直撃した――。(取材・構成=ライター・山口伸)
無名の飲料メーカーが炭酸水で楽天市場を席巻
ライフドリンクカンパニー(以下LDC、本社:大阪市)という社名を聞いたことはあるだろうか。同社の炭酸水「ZAO SODA」は、大手他社を差し置いて、「楽天市場」の水・ソフトドリンク部門で3年連続1位を獲得している。
LDCは、ミネラルウォーターやお茶などの飲料の製造・販売を行う従業員500人ほどの会社だ。もともと茶葉の加工・販売を手掛けていたが、事業の多角化を目的として飲料メーカーを買収し、2001年から清涼飲料水事業に進出。その後、事業を飲料に絞り、17年に現在の社名になった。
飲料を扱い始めた当初は、自社ブランドの低価格飲料を小売店に卸していたが、小売各社がプライベートブランド(PB)に力を入れ始めたのに合わせ、イオンや西友など大手のPBのOEM生産比率を高めていった。
そのPB商品の近年の人気が功を奏し、2023年3月期の年間売上高は303億円と、20年3月期の195億円から大きく伸び続けている。PB・自社ブランドを含む総生産本数は23年3期は5700万ケース、24年3期は6400万ケースとさらなる成長を見込む。
BtoC向けの商品として新たにブランドを立ち上げ
オリジナルブランド「ZAO SODA」を始めた目的は、山形県にある蔵王工場の稼働率の向上だった。
「当時から炭酸水も製造していましたが、お茶やミネラルウォーターと比べてBtoBの広がりがイマイチでした。そこで、『ZAO SODA』というブランドを立ち上げて、BtoC向けに販売してみようということになりました」(経営管理本部長・清水大輔さん)
社名の認知度とは裏腹に、炭酸水は出だしから好調な勢いを見せ、2021・22・23年の3年連続で楽天市場の部門別でトップの座を獲得した。現在では楽天のみならず、アマゾンやヤフーでも販売している。