「タバコが吸える」ことが店を選ぶ理由の第1位

少し古い調査になるが、14年に日経リサーチが飲食店の選択理由に関するアンケートでは、居酒屋とカフェにおいては「タバコが吸える」ことが店を選ぶ理由の第1位となった。タバコを吸うために店に入る人は確実にいる。喫煙者を排除する全面禁煙は愚策といえるだろう。

写真=時事通信フォト
スタバへの大きな不満/「スタバの顧客満足度は例年低い」と飯島氏。「危険をすべて排除したいと考えるなら、飲食店は飲酒運転撲滅ではなく、深刻なDVを引き起こすこともある飲酒そのものを撲滅すべし」と指摘(写真はイメージです)。

原則屋内全面禁煙をうたう改正健康増進法でも抜け道はある。客席面積が100平方メートル以下で、個人や中小企業(資本金5000万円以下)は禁煙の対象外だ。国より厳しい東京都の条例でも従業員を雇っていない個人営業の飲食店では、喫煙可を選択できる余地がある。

大手チェーンは、串カツ田中やサイゼリヤのように影響を受けるかもしれないが、これまで大手に押されて経営状況が厳しくなっていた個人営業の純喫茶などは喫煙客の増加で息を吹き返すかもしれない。

しかし、法律の条文をよく読んでみれば、大手チェーンだって、喫煙専用室を設置すれば紙巻きタバコが吸える。加熱式タバコ専用喫煙室にすれば飲食可能になる。さらに喫煙を主目的とするバーやスナックの営業も認められている。分煙設備に投資すれば、喫煙客を失わず、売り上げの向上も見込める。小池百合子東京都知事にいくらいじめられようとも、飲食店のみなさんは廃業などせず、現行制度をうまく使って生き延びてほしい。それが私の願いだ。

選挙になると、銀座4丁目のドトール2階の喫煙席から、候補者たちの演説やその聴衆たちの熱気に触れるのが、私の楽しみだった。喫煙席の並びには、右の人も左の人もいて、みんなタバコを吸いながら、日本の行く末を思い思いに議論していたのだ。しかし、その喫煙席は奥へ奥へと追いやられてしまい、もうあの雰囲気は味わえなくなった。

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