顧客を民間と食い合うのは、あまりにもナンセンスだ
そもそも奈良公園だけのために来る日帰り観光客が、本当に奈良に必要なのかという話です。予算は、滞在時間を伸ばすための制約を増やす、つまり宿泊客などの一人あたり観光消費額の高い顧客だけを呼び寄せることに費やすべきです。
そういう意味では、バスターミナルを多額の税金で整備し、お金にならない顧客を呼び寄せ、さらには民間施設と駐車場事業で食い合うというのはナンセンスすぎるわけです。
地方では民間のような事業を行政が行い、失敗することをくり返しています。背景には、規制強化などの法律や条例に関連することは利害関係者も多く、議会で新たなルールを通すのが難しいことが挙げられます。
一方で、施設開発事業は予算をつければ比較的かんたんに実行できてしまうからどんどん進んでしまいます。
言い換えれば「やるべきこと」ではなく「やれること」をやってしまった結果、行政にはなじみの薄い顧客調査や競争戦略が必要な領域に税金を費やし、成果を出せていないのです。
行政は行政にしかできない仕事をするべきです。つまりは法律や条例によってできることが求められます。