高校生の40人中2人は通信制
少しずつ変化はあるものの、いまだに「通信制高校」に対する世の中の見方は、決してプラスではありません。それは学校に対する目だけでなく、在籍している生徒の皆さんにとっても残念ながら同じと言えます。
個々の生徒を見れば、目標に向かって努力している人、制度を有効活用してさまざまな活動を行っている人、アルバイトなどをしながら自分の責任で在籍している人などが、通信制高校を与えられた学びの場として活用しています。
平成30年の学校基本調査によると、通信制高校の生徒数は18万6502人。全日制高校の生徒数は315万559人ですから、実は高校生の40人に2人は通信制高校生です。
これが、現実です。一人ひとりの選択が、このような数字になってきているのです。
しかし、多くの人は、自分が経験した学校生活がスタンダードであって、それ以外はイレギュラーなのだ、という考えを持っています。これを変えるのは、かなり難しいことです。
高校は「大学受験」のためにあるのではない
学校の存在意義とは何でしょうか。
学校の使命は、社会に子どもたちを出して、その社会で生き抜く力、居場所を見いだす力をつけてあげることだと私たちは考えています。学校は、学校を守るために存在するのではなく、生徒の皆さんのために存在するのです。
そう考えると、社会が変化していく中で、学校も変化するのは当たり前です。高等学校の場合、大学受験突破力の育成という点では、存在意義はすでに明確かもしれませんが、さらに一歩先を考えた、社会で役立つ力の育成にどれだけの時間を要することができているのかを見ることが、今、一番大切ではないでしょうか。
通信制高校への評価を変えたい。通信制高校のイメージを変えることで、生徒のイメージも変えられるはずだ。そのためには、教育の世界の人間だけの発想ではなく、教育界以外の考え方を取り入れなければならないと、私は考えていました。そんな時に、ドワンゴ取締役の方にお会いできたことで、さまざまな考えや発想がもたらされ、本当に刺激になりました。その考えは、まさに通信制高校のイメージを変えたい、という思いと合致したものでした。そして、教育とはひょっとしたら遠い存在であったドワンゴに事業を推進してもらうことになったのです。
そうやって開校したN高は、現代の子どもたちに受け入れられました。
N高在籍生の44%が東京・神奈川・千葉・埼玉在住で、大阪・兵庫・京都は17%。人口比率を考える必要もありますが、在籍生の約60%はいわゆる都市部の在住です。新しい教育を求める声は、都市部を中心に確実に出てきていると思います。