「教育はリアルな場でなければならない」のか
しかし、N高は従来の教育界には、すんなりと受け入れられないものでもありました。何が受け入れられないか、それは、「教育はリアルな場でなければならない」という固定観念に対して、N高はイレギュラー感があるからだと考えています。
現代に生きる子どもたちは、リアルとネットの世界をシームレスに行き来しています。リアルなコミュニケーションしかなかった時代では、一緒にいる時間や距離が親密感の尺度でした。しかし、現在の子どもたちは、一緒にいる時間や距離が親密感に比例していません。同級生でもクラスメートでもない遠隔地でも、ネットでつながっている<友人>はいるのではないでしょうか。
狭い限られた地域では一人でも、地区を超えて、全国、いや世界に広げると、きっと自分と価値観が近い友人はいると思います。実はそれは、大人の世界に近いことでもあります。リアルとネットは、もはや区別できない時代にきていることを、教育機関は認めることが必要ではないでしょうか。
しかし、大人は、分断的にしか捉えられないのです。実際の子どもたちと乖離のある発想をしていることにすら気づいていません。だからこそ、開校以来、自分と親和性を感じた生徒の皆さんがN高に「押し寄せている」のです。あまり変化のない既存の学校から、時代とともに変化した子どもたちがN高にやって来る。このことは、自然な流れではないでしょうか。
学校説明会は「子が親を連れてくる」
では、N高は、正しいのでしょうか。N高の学校説明会には、多くの生徒が親を引っ張ってきます。従来の通信制高校では、保護者の方が、学校探しの中で通信制を考え、生徒を連れてきていましたが、逆の現象が起こっているのです。
N高では、高校卒業要件の学習のみならず、プログラミング学習を中心に、興味のある分野をオンラインで学ぶことができます。これらは、高校卒業要件とは違う、教育課程外のプログラムです。またリアルな活動にも力を入れており、ニコニコ超会議時に行うN高文化祭や職業体験などにも参加できます。
生徒が自分の興味あることから取り組むことは、学びへの意欲を持ち、自分の将来を考えるきっかけになると考えています。
このことが「N高ならやれそう」という思いを生徒自身が持ってくれる要因となっているのではないでしょうか。子どもたちの想いに寄り添った学校になっているという意味で、N高は「正しい」と思っています。