「僕、幹事やります!」と立候補することの想定外のメリット

新卒で住友銀行の支店に配属されたときも、調査部に移ったときも、APに転職したときも、僕は宴会幹事に立候補した。

「幹事って、そのグループにずっといる主流メンバーがやるものだよね」

そう思う人が多いかもしれないが、幹事の基本は雑用と連絡係だから、そう難しいことはない。コミュニティーへの貢献なら、知識もスキルもなくても真っ先にギブできる。そもそも「僕、幹事やります!」と言えば、少なくとも嫌な奴とは思われない。

「こいつは仕事ができるかどうかわからないけど、自分たちのコミュニティーに溶け込もうとしている」と、みんなが受け入れてくれるのだ。いち早くコミュニティーに溶け込めば、いろいろな情報が入ってくるし、人間関係もできていって、スキルを貸してもらいやすくなる。

宴会の幹事でも社内ランでも、バーベキューでもいい。「やると楽しいかも」ということがあれば、幹事役を買って出るといいだろう。

心理的な壁が早く取り払われる

僕もAPに入った頃は、独身の先輩に合コンをセットしたり、ファイナンス以外にも勉強会を主催したりした。だから圧倒的に「できない奴」だった僕に、みんなやさしく教えてくれたという面があると思っている。

南章行『好きなことしか本気になれない。人生100年時代のサバイバル仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

それは今でも続いていて、たとえば数年前から、「東横のれん会」という東横線沿線に住んでいる経営者の集まりに参加するようになった。すでに何年も続いている会で、すでにみんな仲がいいところに飛び込んだ僕は、知り合いが一人か二人いる程度。僕より年上で経験豊富な経営者が多い。だからこそ初回参加した際に「次回の幹事、やらせてください」と立候補した。

隅っこにいるよりよっぽど早く溶け込めるし、経験が足りない僕が受け入れられるいい方法だし、人とコミュニケーションするチャンスが増える。何より、自分のなかでの心理的な壁が早く取り払われるのが効果的だったりする。