9月20日にラグビーワールドカップ日本大会が開幕する。ラグビーの魅力はどこにあるのか。元日本代表主将の廣瀬俊朗氏は、「ラグビーには対戦相手やレフェリー、サポーターなどといっしょに『いいゲーム』を作ろうとする独特の文化がある。サッカーではサポーター同士のトラブル防止で客席を分けるが、ラグビーではそれぞれのサポーターが交ざり合って座るという違いがある」という——。

※本稿は、廣瀬俊朗『ラグビー知的観戦のすすめ』(角川新書)の一部を再編集したものです。

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4年前の「スポーツ史上最大の番狂わせ」

2015年9月19日、英国時間の18時56分。

日本では20日午前3時になろうとする頃だ。

ラグビー日本代表が、第8回ワールドカップの初戦で、これまで二度の優勝を誇る南アフリカ代表スプリングボクスから34―32と劇的な逆転勝利を収めた。

日本がワールドカップで勝利を挙げたのは、1991年10月14日、第2回大会でジンバブエ代表を52―8と破って以来のこと。

24年ぶりの白星は、英国のタイムズ紙やガーディアン紙といった高級紙が「スポーツ史上最大の番狂わせ」と大々的に報じた、掛け値なしの大金星だった。

僕は日本代表の一員ではあったが、試合に出場する23名のメンバーに選ばれず、仲間たちが練習の成果を出して強豪にくらいつく様子を、スタンドから見守っていた。

最後10分ぐらいからは、グラウンドに降りていった。そして、カーン・ヘスケス選手がロスタイムに逆転トライを挙げた瞬間に、歓喜を爆発させた。

2012年にエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)のもとで日本代表の強化がスタートして以来続けてきた、「ハードワーク」が報われた瞬間だった。