多様性があるから思いやりが生まれる
こうした「ラグビー文化」の根底にあるのが、お互いに激しく真剣に身体をぶつけ合う競技の特質だ。
試合のなかでは、相手の身体を壊そうと思えば壊してしまえるような状況がしばしばある。しかし、そこで人間としての最後の一線を決して越えることなく、どんなに激しい戦いのなかでもお互いにルールを守り、そのなかで最大限の戦いを繰り広げようとする。そこがラグビーの素晴らしさであるし、そういう本質を理解しているチームを相手にするからこそ、対戦相手に対するリスペクトの気持ちも生まれてくる。
もっとわかりやすい言葉で言えば、レベルが上がれば上がるほど、「しょうもないプレー」をしなくなるのがラグビーという競技なのだ。
そういうラグビーの本質にあるのは、「多様性」だと僕は思う。
ポジションによって身体つきも、持っている個性も、みんな違っている。
ゲームの性質から考えても、チームのなかで自分だけがハッピーになればいいという気持ちでは、いい試合を戦うことはできない。いい試合をするためには、身体の大きなフォワードも、僕たちバックスも、みんながハッピーになることを考えながらプレーする必要がある。
そして、仲間のために頑張ろうと思ってプレーするからこそ、見ている多くの方に勇気や感動をお届けすることができる。