全生徒1500人の顔と名前を記憶する校長の目配せ力
こうした「良い先生」は目を学校の隅々まで行き届かせている。
取材を通して「生徒の満足度が高い」と感じられたある共学校の校長先生は、全生徒約1500人の顔と名前を記憶し、なるべく生徒に話しかけるようにしていた。
同じように生徒の満足度が高かった女子校では多くの先生方が生徒ごとに異なる登校時間を完璧に把握していた。今までとは違う時間に登校した子には間髪入れず「何かあった?」と聞いてくれるということをその学校の保護者から聞いた。
つまり、「学校満足度が高い学校」でダントツに多い理由は「先生が自分をちゃんと見てくれている」なのだ。要するに、生徒の顔を見て、話を聞き、その良さを認めてくれる先生がいる学校には幸せな生徒がたくさんいるということだ。
「中の子」が輝くには親が聞くことが大切
一方、中高生の子を持つ親は、大学進学を控えて学習面などに関して子どもへの要求レベルが高くなりがちである。子どもの成長と共に、無条件に子どもそのままを認めてあげることがなかなかできなくなってしまう。生徒からすると、そうした「生きづらい」環境の中、たったひとりの先生が「ちゃんと見てくれている」=「話を聞いてくれる」というだけで救われるのだ。
親は「言う」ではなく、「聞く」ことが大切なのだ。それが、子ども自身が自分の考えをまとめ、自分という存在を意識し、発信していく基礎となる。仮に、学校内で「中の中の子」であったとしても、親がそうした姿勢であれば、子どもは自ら輝きだすはずだ。