在学中は目立たなかった子が超難関大学に合格できたワケ
では、どうすれば、そのような力を得ることができるようになるのだろうか。
筆者はさまざまな学校で「ミラクル君」と呼ばれた卒業生に話を聞いている。ミラクル君とは、在学中は目立たなかったにもかかわらず、結果的に超難関大学に入学、あるいは自身の夢をかなえたという元生徒のことである。各学校の教員から聞くそうしたエピソードを整理すると、ミラクル君には共通点があることがわかった。
それは必ず、「友人と先生に恵まれていた」ということだ。
学校に対する満足度が高いと答える中高生はほぼ100%、「良い友だちがいた」と言う。この「良い」という言葉を深堀りしていくと、こうなる。
「何でも話せる子がいる」
「気が置けない」
「悩んでいる時に、ただそばにいてくれる」
そして、「先生が良い」と証言するのだ。この「良い友だちと先生に恵まれた」生徒の例を挙げよう。
やる気がない「中の子」が「難関医学部合格」できた背景
それは神奈川県内のある進学校に通っていた「ごく普通の男子生徒」。聞けば、部活は帰宅部、勉強は進級には問題ないという典型的な「中の中」だった、と自分自身のことを振り返る。しかし、周りの子たちが高3になって、大学受験体制に入った時に、こういうことが起きたという。
「自分は高2くらいまで定期テストに対して意欲があまりわきませんでした。勉強に対して前向きは気持ちになれなかったんです。でも、ゲーム仲間として仲が良かった友人たちが高3になった瞬間に、目の色を変えて勉強するようになったんです。彼らは特進クラスの人間でしたが、彼らとつるんでいるうちに、理解できていない部分を教えてもらうようになって、自分もその波に飲まれたというか……。それで勉強するようになりました」
結局、浪人後、第一志望大学の超難関の国立大医学部に合格した。
「『受験は団体戦』って言葉が身に染みてわかりました。自分はそれまで努力の意味すらも知らない人間でしたが、仲間と『なぜ勉強するべきか?』というような話もたくさんしたんです。それで出た結論が『自分の人生を生きるため』ってことだったんです。それで、受験には必要性があるって思えたので、勉強しはじめたんです」
その彼が、もうひとつ「きっかけ」となった理由を教えてくれた。
「高校での担任はずっと同じ先生でした。先生は、放課後の教室で私や友人の話をただただ聞いてくれました。勉強にやる気がなく、ゲームざんまいの僕に対しても、その先生は『お前はやればできるんだから』ってずっと言ってくれたんです。僕らのことを見捨てないでいてくれた。そのことが(勉強した)きっかけといえばきっかけですね」