成績優秀者ではないが、劣等生でもない。そんな「中くらいの子」は学校で放っておかれやすい。教育アドバイザーの鳥居りんこさんは「『中の中の子』は存在感が希薄で、意見も求められない。そのため、決められず動けない大人になる恐れがある」という――。
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放置される“中の中”の子「僕らは透明な存在なんです」

筆者は長年、首都圏を中心に私立中高一貫校の現場取材を続けている。教員だけでなく生徒たちの生の声を聞く機会を豊富に持っているが、最近、あることに気づいた。

取材先は中高一貫校であるゆえ、中学受験で入学してきた生徒が大半である。その中には合格難易度にかかわらず「学校生活に満足がいかない」と悩む生徒が多数存在している。こうした悩みを抱える生徒の多くが、成績的には「中の中」の生徒たちなのだ。

成績が学年の「中の中」というある中学3年生はこう言った。

「結局、僕は、先生たちから見たら、透明な存在なんですよ。いても気付かれない、透明なね……」

どういうことかといえば、学業も友人関係もとりたてて問題がないので、教師は彼らを放置する。可もなく不可もなくという存在は、結果的に期待も憂慮もされない、学費を払うだけの存在とみなされてしまうケースが少なくないのだ。