米カリフォルニア大学での実験では、大学生16人と65歳以上の高齢者16人が集められ、どちらのグループでも1週間で視力の向上が認められた。カンザス大学の研究では、近視の人では平均視力0.4から0.6へ。老眼の人では平均視力0.3から0.6へ改善したという報告が行われている。

認知機能全般へのよい影響も期待できる

「見る」「聞く」など脳の感覚野の老化は、認知機能にも影響を与えることがわかっている。「ガボール・アイ」で視覚野が活性化されることは、記憶力や集中力の向上、物忘れの防止など、認知機能全般へのよい影響も期待できるだろう。

(写真右)図の解答。1回につき3~10分を目安に。1日1回でOK。(同左)平松氏の著書『ガボール・アイ』。28点の問題と解答が掲載。

なお、「ガボール・アイ」は、判別できた数や所要時間を競うものではなく、正解率と視力アップが関係するわけでもないので、答え合わせも必要ない。ただ、1日の空いた時間に3~10分、判別トレーニングを続けていくことで、脳の視覚野の力が上がっていくのだ。1日だけ行った場合もある程度の効果が期待できるが、2週間は続けてもらうと効果が表れやすい。効果が出やすいのは、裸眼で0.1以上の視力のある人で、老眼で困っている人にはたいていあてはまるはず。

ここで紹介した方法は、目の基本的なケアであったり、脳の視覚野を生涯にわたって活性化していく手段でもあったりする。スポーツでの動体視力アップや、仕事の作業効率を上げるためにも役に立つはずだ。

平松 類(ひらまつ・るい)
眼科専門医
1978年、愛知県生まれ。昭和大学医学部卒業。山形県米沢市三友堂病院眼科科長、彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長などを経て、二本松眼科病院勤務、昭和大学兼任講師。わかりやすい解説が好評で、テレビ、新聞、雑誌などで活躍。
(構成=南雲つぐみ 写真=amanaimages)
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