「総務部長が立てるような計画」を平然とぶちあげる社長
計画策定においては、特に論理的にものごとを考えることが大切です。今後起こることを想像するのも、結局は、論理の積み重ねです。論理的思考力の乏しい人には、適切な想像や想定ができにくいものです。
また、リーダーには論理的思考力により導きだした結論の根拠や背景をきちんと理解し、説明する能力も必要です。「上司に言われたから、こういう目標になっている」や、「(目標設定の数字は)昨年度からの成り行き」というような企業では、株主や社員は納得しないでしょう。
昨年度までの延長線上の計画を立てるのを、私はよく「総務部長が立てるような計画」と揶揄します。それは、本来のリーダーが立てる計画ではありません。むちゃをするのは避けるべきですが、「挑戦」の姿勢を示さないリーダーの存在意義は小さく、そんな人ならいなくてもいい。
論理的思考でリスクをち密に計算しながら新しいチャレンジすることを考え、具体的な計画に落とし込む。それこそが、デキるリーダーのあり方ではないでしょうか。
自分自身に考えがなく「衆知を集める」だけの経営の盲点
もうひとつ、私が、リーダーが経営計画のプレゼンテーションなどを行う際に注意して見ているのは、リーダー自身に「自分の考え」があるかどうかということです。
「衆知を集める」ということはとても大切ですが、自分の考え方や仮説を持たずに、部下の考え方を単に寄せ集め、それで結論を出すのは、部下のアイデアの「ピンハネ」をしているのも同然です。自分自身でも仮説を持ち、さらに、部下の考えを判断するしっかりした考え方を持たなければならないのです。
そんな存在となるために、リーダーは普段から「勉強する」ことが大切です。中国の古典や松下幸之助さん、稲盛和夫さんなどの、長い間多くの人から支持され、本当の意味で成功された経営者やリーダーが書かれた本を何度も読むなどして、自分のバックボーンを作らなければ、自分自身の意見の形成や部下の意見の判断もできません。まさに「学ぶにしかず」なのです。
もちろん、リーダーの考え方であっても、部下の考え方であってもしょせんそれらは「仮説」でしかありません。しかし、原理原則をきちんと学んでいる人の仮説と、単なる思いつきで話す人の仮説では、その精度が明らかに違います。
いずれにしてもリーダーに求められることは、目的に基づく具体化な目標を策定し、論理的にその結論を導き出し、挑戦すること。言うはやすし、ですが、普段からリーダーがその意識を持ち、勉強と修練を続ければ、そのプロセスの内容や精度が高まり、ひいては事業成績の確率も高まるのです。