目の前のことに追われすぎている
それぞれ状況や生まれる背景も違いますが、頻繁に耳にする悩みのパターンがいくつかあるので、ここで紹介しましょう。
例えば:
①「社内だけで取り組んでもなかなか良いアイディアが出ない」
②「社外と組んでやってみたが、その先につながらなかった」
③「既存の事業のカイゼンや、社内のどこかから『見つかってしまった』リソースの活用をしなければいけなくなり、まったく新しいことができない」
④「何から手をつけていいかわからないが、とにかくこのままではダメだとわかっている」
⑤「マネジメントや外部組織などから言われ、IoT(モノのインターネット)やデザイン思考など、最近のトレンド領域で何かやらなければならない」
これらの悩みに共通するのが、「やらなければならないこと」「できていないこと」に追われすぎて、そもそもの「お題=問いかけ」を設定できていないことです。逆に言えば、それぞれ「良い問いかけ」があれば突破口が見えてくる悩みであるともいえます。
特に大きな組織では、様々な企画の生い立ちやプロセスが見えにくく、結果的にアウトプットが評価されがちであるため、上記のような悩みが表面化することが多くあります。
解かれるべき問題は何かを探り当てる
また、意思決定の場面においては、上司や役員といった“マネジメント層の個人”の決裁を目指すかたちになってしまい、その結果、例えば「なぜこの会社がやるのか」「世の中の人にどんな価値をもたらすのか」といった大きな問いかけが希薄になることもケースとしては多いでしょう。
事業のなかで先のような課題に直面すると、どうしても成果やアイディアを求めて頭を抱えがちですが、本当に必要なのは、クリエイティブなアイディアなどではなく、その前段階でのクリエイティブな問いかけです。
既存の製品をより良いものにすることなど、日本企業は「解決策」を見つけるのは得意です。つまり、良い問いかけさえあれば、その強みをさらに活かすことができるともいえます。
これからは、降ってきた問題を、早く正確に解く能力だけでなく、そもそも解かれるべき問題は何かを探り当て、問いそのものを設定する能力が求められているのです。