発想力のある人は何がちがうか。世界一のデザインコンサルティング会社IDEOの野々村健一ディレクターは「悩みを抱えるクライアントの共通点は、『お題=問い』の設定ができていないこと。原因や問題追求ではなく、問いかけの中に『人』を入れるとより良いアイデアに近づく」という――。
※本稿は、野々村健一『0→1の発想を生み出す「問いかけ」の力』(KADOKAWA)を再編集したものです。
「問いかけ」をベースにした考え方
もしあなたが「0→1」で何かを創らなければいけない、もしくはそれを志している、あるいは何かを「変えたい」と思っているのであれば、「問いかけ」をベースに考えることは非常に効果的です。
いきなり「問いかけ」といわれてもピンときにくいかもしれませんが、そもそも私たちのすべての行動のベースには、なんらかの問いかけがあります。
「どうすればこの相手を説得できるだろうか?」
「どの道で行けば早く帰れるだろうか?」
「どうすれば効率よくこの料理を作ることができるだろうか?」
このような問いかけは、「1+1=?」といった、明確な「答え」のある問いかけとは本質的に違うものです。
そもそも私達が日常的に考えたり触れたりする問いかけは、「答え」が一つであるもののほうが少ないと思いませんか? これはビジネスの場面でも同様です。
実際、私が勤めるIDEO(アイディオ/デザインを通じて様々な組織のイノベーションを促すコンサルティングを担う)において、ご相談いただくクライアントが直面している状況は、多くの場合「1+?=?」、あるいは「1×?=?」といえるようなものです。言ってみれば、自社や自分たちが次に進むべき方向を選ぶことに困っているうえに、その先でどのようなことをすべきかというアイディアもなかなか浮かばない状況です。