センスのいい人はどこが違うのか。SNS総フォロワー数47万人超のデザインメディア・デザイン研究所の書籍『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』(KADOKAWA)より、一部をお届けしよう――。

センスを身につけるための2つの能力

街中にある看板や企業のポスター、道路の標識、電車内の広告、商品パッケージ、WEBサイト……私たちの身の回りには、ありとあらゆるところに数えきれないほどのデザインが溢れています。普通の人にとっては「オシャレだなぁ」とただ眺めるだけでスルーしてしまうもの、あるいは「煩わしい」と感じるものかもしれません。

一方で、プロのデザイナーにとってはデザインセンスを養う教材のひとつとなっています。日常生活で目にするデザインには、ひとつひとつに制作者の意図やこだわり、伝えたいメッセージが込められているからです。

デザインを意識的に「見る力」、そのデザインが施された意味を想像・考察して「言語化する力」を身につけることでセンスが磨かれ、実践の場で活かせるようになります。

「赤色」に着目したときに見える世界

それでは一度、この記事を読んでいる画面から目を離して辺りを見渡してみてください。

次に、あなたの周りにある「赤色」を見つけてみてください。

最初にキョロキョロと眺めたときと、赤色に着目したときに見える世界は違ったのではないでしょうか。このように「見る力」とは、意識して風景を観察し、隠れているデザインを見つける能力を指します。

もうひとつの「言語化する力」は、デザインの制作意図やアイデアを想像し、アウトプットする能力を指します。

この力はデザインの世界だけでなく、どの業界においてもプロが実践に活かすために鍛えているものです。デザイナーであれば「この色をこの場所に使っている意味は?」、料理人であれば「この料理をこのお皿に乗せている意味は?」、音楽家であれば「曲のこの部分にこの音を入れた意味は?」と、思考を巡らせています。

日常に存在するデザインを教材と捉え、「見る力」と「言語化する力」で読み解いていけば、短期間でデザインセンスを高めることができるでしょう。