優良ベンチャーの場合▼あなたの人生をグラフ化してください
「メガベンチャー」と呼ばれるDeNAやサイバーエージェント(CA)をはじめ、ベンチャーでも上位校の学生から志望先として名前が挙がる会社は多い。ベンチャー側もインターンシップ採用を積極的に行い、優秀な学生と早期に接触する機会を増やしている。
「ベンチャーには、大きく分けて2つのカルチャーがあります。1つは、事業ドリブン(起点)型の会社。外資系コンサルや投資銀行の出身者などが創業し、事業の強さで成長していくタイプで、DeNAが代表格です。もう1つは、組織ドリブン型の会社。組織力で成長するタイプで、CAやビズリーチはこちらに該当します」と北野氏は解説する。
事業ドリブン型の採用選考は戦略コンサルに近く、面接では志望動機よりも、「自分はビジネスが好きで、それにコミットできるだけの能力やスキルがある」と伝えなければ採用には至らない。一方、組織ドリブン型の企業は、”人”が軸の採用をする。面接官と学生がお互いに『この人と一緒に働きたい』と思えるかという、共感性や相性が面接の合否を決定づける。
加えて、ベンチャーならどの会社でも求められるのが主体性で、大企業よりも、自発的に考え、動くことができるかが問われる。よって面接では、主体的に行動した学生時代の体験や、入社後に何をしたいかというビジョンを明確に語れると評価が高い。
ビズリーチの面接官はココを見ている!
▼ベンチャーのスピード感を楽しめるか●坂本 猛
「これまで生きてきた中で、何を考え、意志決定し、行動してきたか」。この観点の質問を重ねることで、変化やストレスを受けたときに自らを変えられる人かどうかを見ています。そのために、例えば幼少期から現在までの感情の変化を表した「モチベーション曲線」を書いてもらい、上下の振れ幅が大きいポイントを掘り下げて質問していく方法をよく使っています。
当社はベンチャー企業のため、社内では毎月のように組織変更や人事異動があり、新しい事業に挑戦する機会が生まれています。新卒数年目でマネジャーになることも当たり前。スピード感のある環境をどう使いこなし、楽しめるかという点を採用では重要視しています。
環境の変化にどう対応してきたか
選考の際に特徴的なのは、面接の回数が決まっていないこと。個々で異なりますが、約1時間の面接を5~10回ほどします。面接者は主に人事担当者と現場で働く各部門の社員やマネジャーですが、ときには部長や役員が入ることもあります。
採用は通年で行っています。インターンは夏と冬に募集し、最速で、大学3年生の12月までに内定が出る場合もあります。
面接では、前述のとおり、変化に対応する力を見ています。過去に変化を経験していない人が、社会人になって突然変化に対応できるとは考えづらいので、事実ベースで確認します。その際、その人の様子や状況をカラーで想像できるくらいまで掘り下げて聞くのですが、エピソードの詳細に欠けていると感じた場合は、問題意識を持って取り組んでいないと判断します。問題意識を持つことは、現状を変えるために行動していく指針になります。それが結果的に、変化対応力につながると考えています。
仮に、エピソードが作られたものだったとしても、その人の持つ「意志決定基準」はごまかせないでしょう。例えば部活選びの際に、校内一強い部を選択していたら、「強い環境の中で自分を追い込んでいくタイプ」と推測します。他の事例を聞いていく中で、意志決定の軸がずれていたら、なぜずらしたのかを聞いていきます。一点の確認ではなくて、複数の面から確認していくと、その人の価値観や本質が見えてくると考えています。
ワンキャリア執行役員
メディア編集長。神戸大学経営学部卒。博報堂、BCGを経てワンキャリアに参画。著書に編集部名義で『就職一流内定』(プレジデント社)、単著に『転職の思考法』(ダイヤモンド社)。