名門のオックスフォード大学ではどのような入試を実施し、どんな生徒を入学させているのか。東洋学部教授で入試面接官のチョ・ジウンさんは「いかにも受験対策のコーチングを受けたような自己紹介書を提出し、面接官の質問に何度もリハーサルしたような答えを“立て板に水”のように話す学生を面接官の10人に9人は好まない」という――。

※本稿は、チョ・ジウン『オックスフォード式勉強感覚の育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、北野博己訳)の一部を再編集したものです。

オックスフォード大学
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独走する1位が淘汰される未来

優秀な一人より、感性と共感でチームで問題解決できる人

私が他の人よりかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に立っていたからです(If I have seen further, it is by standing on the shoulders of giants)。

アイザック・ニュートンが1675年の手紙に書いたこの一節は、どんなに偉大な成果であっても、それは個人だけの業績とは言えないという事実を意味します。

ニュートンの場合、先輩科学者らの研究の積み重ねがありました。

理論物理学者のスティーブン・ホーキングも、2017年に博士論文を一般に公開した際、この一節を引用して次のように語っています。

「どの世代も、その前の世代の肩の上に立っています。私がケンブリッジで博士課程の学生だったとき、アイザック・ニュートン、ジェームズ・クラーク・マクスウェル、アルバート・アインシュタインの研究からインスピレーションを受けたように」

ノーベル博物館では、ノーベル賞受賞者の核心的な力量を「創造力」と定義しています。

さらに、その創造性が発揮されるためには、他の人とコミュニケーションをとり、協業する能力が必要であると強調します。

協業なくして革新はなく、いかに優れたアイデアを持った賢い人物でも、人と疎通できなければ成功しがたいということです。

今の教育界の話題の中心は、以前のような効率性ではなく、感性と共感です。今や世界の問題は、一人の優れた個人が解決するには複雑になりすぎて、チーム単位でアプローチしなくては成果が出せなくなっています。

感性と共感を介したコミュニケーションと協力、調和の価値はこれまでになく高まっています。これは上下関係に縛られることなく、互いの役割を尊重し、水平的な関係を結ぶことができる能力とも言えます。

私は委員として、教授任用審査委員会にしばしば参加します。応募者は概して優秀で、似たようなスペックを持っています。論文数も同じくらいです。

この場合、履歴書に書かれた客観的な条件より、結局はその人が一緒に働くのに適した人かどうかを重視します。

人の言葉に耳を傾けてコミュニケーションがとれ、融通性を備えていることが肝心で、責任感と思いやりがあれば完璧です。研究はチームプレーだからです。

連携すれば規模が拡大し、規模は経済性を創出します。今後到来する第四次産業革命の時代には、これまで不可侵だった現実と仮想の境界が破られ、連携規模の拡大が実現します。

とはいえ結局、連携の中で主体として活動するのは個人です。もし今、協業する習慣と能力を育てられなければ、おそらく子どもはすべてがつながった未来環境の中で、一人で困難に立ち向かうことになるでしょう。