大手メーカーの場合▼毎日ワクワクして生きていますか?

ひと口にメーカーといっても、学生の就職人気で見ると、業種によってはっきりと明暗が分かれる。日本を代表する産業だった電機メーカーは、学生たちも東芝やシャープの窮状を見聞きしているので、上位校の学生が第1志望にすることはほとんどない。対して、サントリーやP&Gなどの食品・消費財大手、トヨタ自動車をはじめとする自動車はブランド力が高く、人気は根強い。給与水準が高く、社会貢献度が高いイメージのある製薬メーカーも、一定の人気がある。

面接の傾向も、勝ち組の人気企業とそうでない企業で大きく分かれる。後者については、企業側が学生の獲得に必死で、志望動機や入社の意志を確認する”踏み絵”面接が多い。よって、「なぜメーカーか」「メーカーの中でなぜこの業種か」「その業種の中でなぜこの会社か」という三段論法で回答を準備する必要がある。

「一方、サントリーをはじめとする人気企業は、面接で学生の人間的な魅力を見ようとする余裕がある。これらのメーカーで好まれるのは、周囲から『あの人、何か感じいいよね』と思われるバランスの取れたタイプ」と北野氏は説明する。よってこれらの面接では、回答の内容はもちろん、柔らかい物腰や人当たりのよい話し方なども含め、他人に好感を持たれる雰囲気づくりが必要だ。

サントリーの面接官はココを見ている!
▼本人も気づかない隠れた魅力を引き出す●成瀬雅昭

まず、エントリーシートで、白紙のフォーマットに「今までの人生における挑戦または創造の経験」をテーマに自由に表現していただいています。文字だけでも、写真やイラストを使ってもらっても結構です。手間はかかりますが、その分個性を存分に発揮できます。このエントリーシートに対してワクワクしてくれる方に来ていただきたいという学生へのメッセージでもあります。

人事部課長 成瀬雅昭氏

面接では、エントリーシートに書いていただいたことを中心に話を伺います。例えば、大学時代の取り組みについてシートに書いていただいた場合に、なぜそれを始めたのかを高校、中学と遡って語ってもらう場合があります。これまでの人生でどんなことに悩んで、どんな決断をしてきたのか、その人の人生のストーリーを聞きたいと思っているのです。その過程で、面接向けに準備したわけではない話題の中から、本人も気づいていないようなその人の魅力を引き出すことができたらと考えています。

求める人物像はなし 強い個性は大歓迎

当社では採用にあたって、あえて求める人物像を規定していません。もちろん、10~20年後を見据えたときにどういう人材が必要かは人事部で徹底的に議論していますが、採用の際はいったんそれを横に置き、あまり囚われないようにしています。ほしい人材像の枠を意識しすぎると、目の前にいる学生のよさをそのまま見ることができなくなってしまう恐れがあるからです。

また、複数回ある面接の前半では、判断に迷った方に関しては通過させています。これまで当社にいなかったような強い個性を持った方を安易に不合格にしてしまうことを避けたいからです。創業者精神である”やってみなはれ”と”利益三分主義”を継承できる人材であれば、枠におさまらない方もウエルカムです。

採用の大切さはウイスキーづくりに似ているかもしれません。10~20年後にお客様の味覚がどう変わり、どんな味が喜ばれるかを想像しながらウイスキーの原酒づくりをします。完全に予測するのは難しいので、ブレンダーはいろいろな可能性を考え、様々な味わいの原酒を用意します。採用でも同じで、人材の多様性は、経営環境の変化に対応する力につながっていくのです。