大手不動産の場合▼どんなチャレンジをしてきましたか?

不動産業界の中でも「MM」と呼ばれる総合デベロッパーの三井不動産と三菱地所は、事業規模でも学生の就職人気でも断トツのビッグ2。続いて、住友不動産や東急不動産、野村不動産、森ビルなどが続く。

「大手デベロッパーは採用人数が少ないので、『内定をもらった自分は特別』というレア感が欲しい学生たちが集まります」

デベロッパーは商社や金融、鉄道、エネルギーなどのインフラと併願する学生が多いため、面接ではまず「なぜデベロッパーなのか」を聞かれる。「人気企業なのでとりあえず受けに来た」という学生を振るい落とすため、三菱地所のように「丸の内に足りないものは何ですか?」といった難易度の高い質問も飛び出す。「国内外を含めたさまざまなエリアで大規模な土地開発を手がける事業のため、多様な価値観を持つ人たちを巻き込んで物事を動かした経験が話せれば、面接受けは圧倒的によくなります」。

また、大手デベロッパーは離職率が低いのも特徴だが、それは採用面接で自社にカルチャーフィットする人物を見極めているから。よって面接では、各社の社風や伝統なども踏まえ、「なぜ三菱地所ではなく三井不動産なのか」といった競合比較での志望動機を語ることが求められる。

三井不動産の面接官はココを見ている!
▼歴史をつくる「挑戦心」があるか●平原秀人

採用選考では、主に学生の持つポテンシャルの高さや人柄を見ています。総合職の採用は年間40人程度で、選考は、書類検査・適性検査と3回の面接を行っています。

会社の歴史に通じる面接通過の要点

面接で主に質問するのは「これまでどのような経験をしてきたか」。会社の歴史にも通じるのですが、見ているポイントのひとつが「挑戦心」です。好奇心があり、何事にもチャレンジする意欲のある人を求めています。

人事部 人材開発グループ長 平原秀人氏

三井不動産の設立は1941年。戦後しばらくは、財閥解体の影響もあり、保有資産はそれほど多くなく、経営的にも余裕がない状況でした。転機が訪れたのは高度成長期のはじめ。住宅や工場などが都市に集まりだし、土地が不足し始めたため、臨海部の埋め立て事業に取り組みました。さらには日本で初めての超高層ビルである霞が関ビルディングを竣工させることで日本の都市のあり方を変貌させるなど、新しい価値を数多く提供してきました。こうしたパイオニアスピリットが会社の基盤となっており、新しいことに挑戦する人材が社内で活躍しています。

また、不動産開発には時間のかかる事業も多くあります。特に、まちづくりなど大規模複合開発の場合には、さまざまな関係者の合意形成が必要となりますが、強い信念を持って諦めずに進む粘り強さや、調整を円滑に進めるためのコミュニケーション力も必要だと感じています。

海外比率を3割に 変わる欲しい人物像

当社では18年5月に長期経営方針である「VISION 2025」を発表しました。重要戦略のひとつとしてグローバルカンパニーへの進化を掲げて、2025年頃には連結営業利益における海外事業の比率を3割に伸ばす方針です。この方針のもと、求める人材として語学力とともに、異文化や多様な価値観を理解し、尊重できる資質を持っていることが重要だと考えています。

将来、幅広いフィールドにおいてマネジメント能力を発揮できるよう、人材開発にも力を入れており、入社後おおよそ10年で3部署ほどを経験します。幅広い部署でチャレンジできる可能性があるので、その環境を生かしてほしいと考えています。