海外業務にたずさわるにはどうすればよいのか。人材育成コンサルタントの松崎久純さんは「ただ海外で暮らしていたとか、学校に通っていたという説明だけでは、就職活動が有利に導かれることは稀だ。どのように会社に貢献したいか、そこであなたの海外経験がどう役立つと考えるのか、これを熟考している印象を与えるようにするとよい」という――。

海外業務を希望しているが思い通りにいかない

20代男性の方からのご相談です――大学卒業後、しばらく働いていましたが、退職して米国へ語学留学をしていました。今年になって帰国し、海外業務にたずさわる仕事を探していますが、そのような仕事が見つかりません。英語を使ったり、海外へ出張や赴任をして働きたいのですが、「数年間、国内業務にたずさわってから」「必ず海外業務を担当できるとは約束できない」という返事ばかりです。海外事業がさかんな企業を受験していますが、こんな返答しか得られず不本意です。どう思われますか。

私は海外業務にたずさわった経験が長いため、海外事業の仕事に就きたい人から相談を受けることがあります。これはよくある質問の典型例といえます。

そのまま求職し続ければ、希望の職種に就けるのかもしれませんが、ここでは考え方についてアドバイスしましょう。

自家製のジェットパックを装着して飛ぼうとするビジネスマン
写真=iStock.com/RichVintage
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「英語をよくわかっている」だけでは不十分

就職試験を受けるに当たって、どのくらいの準備ができているか。次の質問に答えることでテストしてみましょう。

「留学されていたとのことですが、実際の英語力はどのくらいでしょうか」

この質問に対する答えで、あなたがどんな力を持った人かわかります。

「私は何年もアメリカに住んでいましたから、英語で困ることはありません」と答えた人がいたとしましょう。

これは面接における適切な、あるいは十分な答え方ではありません。

面接では、「英語をよくわかっている」と述べるだけでなく、それを客観的に証明するもの(=面接官がより具体的に受験者の英語力を把握できる説明)が必要だからです。

海外で学校を卒業していれば、そのことについて。そうでなければ英語能力試験のスコアなど。

あなたには「試験の点数で証明しなくても、自分は実際にコミュニケーションがとれている。試験で何点という人よりも、自分のほうが上手に会話できる」と思えるかもしれません。

しかし残念ながら、それが本当だとしても、その理屈で納得してくれる企業は少ないでしょう。

ただ海外で暮らしていたとか、学校に通っていたという説明だけでは、就職活動が有利に導かれることは稀です。

そのことを認識して、それなりの準備をしてきた人かどうか――まずは、ここで大きなふるいに掛けられるでしょう。

採用する側(面接官)が、受験者の英語力を把握する力を持っていることも、持っていないこともありますが、いずれの場合でも、何らか具体的な判断材料を提示することが必要です。

それを理解しているかどうかは、面接官が受験者の(語学力とは別の)力を見定める際のポイントにもなるでしょう。

就活をする人は、それをわかった上で、準備を整えていることが大事なのです。