「眠くないときでも、会議中は常に腕を組んで机を前にじっとうつむくようにしています。こうすれば、本当に眠いときに同じ振る舞いをしていても違和感がない。『会議中のあいつはこういう態度』という印象を周囲に抱かせることでバレずに済むわけです」

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この作戦、逆転の発想ともいえるが、会議中に頻繁に発言を求められる機会が多い人や、司会にとっては参考にはならない。そこで紹介したいのが、次の“伏線”を張るパターンだ。

「会議中に睡魔が襲ってくるかどうかは、すでにわかっていることが多いですよね。前日に深酒するなど、疲労が溜まっているときは間違いなく午後の会議は眠くなる。そこで、会議開始前の雑談タイム中に『昨日食べたものが当たったのかもしれない。今日はお腹を下してるんだよね』と軽く伝えておくんです」(40代・公務員)

このつぶやきはどんな効果をもたらすのか。「会議中、睡魔が襲ってきたら、申し訳なさそうに『ちょっとトイレにいってきます』と言ってその場を退出。トイレの個室が即席ベッドに早変わりです」。

ほかにも「『大事なクライアントから電話がかかってくる予定だ』と会議前に伝えておくことで、電話に出るふりをして会議を抜け出す」(40代・メーカー勤務)という者も。「そのまま、誰もいない会議室などに駆け込んで、しっかりと寝ます」。物理的にその場を離れれば、寝ていることは当然バレない。

唐突に「そもそも論」を語る手もあり

だが、この方法を会議のたびに実践しては、周囲に怪しまれてしまう。そこで使えるのが、デジタルアートをけん引する制作集団「チームラボ」代表、猪子寿之氏が実践しているといわれる“ほかのアイデア出し作戦”だ。

「チームラボの猪子さんが出ていた人物ドキュメンタリー番組『情熱大陸』(毎日放送)を見たときに『これだ!』と思いました」とは、30代のITベンチャー企業役員。

「多忙の猪子さんは長時間にわたる企画会議で明らかに居眠りをしていたんです。ウトウトする彼を除くメンバーだけで議論を進めていた最中、猪子さんは、急にほかのアイデアを口にし始めたのです。さらに、番組のナレーターはその発言をフォローするように『(猪子氏は)会議中に眠り始めた。ところが……』と、さも彼が議論を追っていたと言わんばかりの状況説明をしていたのです。それを見た瞬間、『この方法なら寝ていてもごまかせる』と思いました」