「外交の安倍」として名を残すことが悲願の首相だが、安倍内閣で解決を目指すとしてきた北朝鮮による拉致問題もいまだ解決の糸口を見いだせていない。自民党を担当する全国紙記者が語る。

「首相は金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談には二の足を踏んでいる。拉致被害者、その家族は高齢化しており、国家の主権の問題を解決するための時間は限られている。それだけでなく、保守派が残念に感じているのは『憲法改正に向けた意欲』を最近感じなくなってきていることだろう」

憲法改正については官邸の後ろ盾が見えない

安倍首相は17年5月、20年に改正憲法の施行を目指すと表明し「いよいよか」と保守派を喜ばせた。18年8月には「自民党総裁を6年間務めた私には、憲法改正に取り組んでいく責任がある」とも語り、18年10月24日召集の臨時国会で改憲案を示す意向を示してきた。

だが、その旗を振っていくのは「官邸主導」ではなく、各党との協議が不得手な党憲法改正推進本部長の下村博文元文部科学相に「お任せ」の状態で、すでに臨時国会も終わりが見えはじめている。民放の政治部記者はこう語る。

「安倍政権は『官邸主導』で物事を進めてきたが、憲法改正については官邸の後ろ盾が見えない。他のことには『首相のご意向だ』などと強引な手法を見せてきた今井尚哉首相秘書官や菅義偉官房長官が消極的とされています」

改憲勢力は発議要件である衆参両院での3分の2を保持しているが、17年秋には衆院解散・総選挙を選択。19年夏には自民党の議席減が予想される参院選を迎える。連立を組む公明党が慎重姿勢を崩していないとはいえ、「今やらなくて、いつやるのか」というところだろう。

首相(党総裁)は残り任期3年で、憲法改正をする気はあるのか。自民党中堅議員はこうつぶやく。「このままでは、安倍首相は『憲法改正をやるフリ』だけを見せて保守の歓心を買い、政権延命を図っているだけと批判されても仕方がない」。

(写真=時事通信フォト)
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