それでは不十分だと思う場合は、子どもが援助するしかない。だが、自身の老後資金を算段したうえで援助しないと、自滅しかねない。また、兄弟姉妹で価値観が異なり、軋轢を生むケースもある。
「親が高齢になるにつれ、親に代わって子が支払いを行う機会も増えていきます。お勧めなのは『介護家計簿』を作ること。介護にまつわる支出はすべて日付や明細を記入し、レシートや領収書を添付。親本人や兄弟姉妹が見られる場所に置いておくといいでしょう」
よかれと思ったことで骨肉の争いが勃発。そんな悲劇を避けるためにもひと手間を惜しまないことが大切だ。
施設名/主な特徴/初期費用(入居一時金や敷金)/月額利用料の目安/メリット/デメリット
介護型
●介護付き有料老人ホーム(特定施設)
24時間体制で介護を受けることができる。部屋は個室が一般的。/0~1億円/10万~40万円/追加料金が掛かることが少ない。/比較的高コストの施設が多い。
●介護型サービス付き高齢者向け住宅(特定施設)
24時間体制で介護を受けることができる。部屋は個室。/0~数十万円/12万~25万円/介護費用が一定なので増える心配がない。/外出制限があるなど自由度が低いと感じることも。
●グループホーム
認知症の高齢者がグループをつくり、少人数で共同生活を送る。/0~100万円/12万~18万円/顔なじみの職員が家族のように寄り添ってケアが行われる。/住民票のある住民だけが入居することができる。看取り対応をしていない施設が多い。
●ケアハウス(特定施設)
24時間体制で介護を受けることができる。/0~数百万円/10万~30万円/介護度が高くなっても住み続けることができる。/原則として自治体住民が優先入所。
●小規模多機能型居宅介護施設
自宅に住みながら「日帰り」「宿泊」「訪問」の3つのサービスを受けることができる。/居宅サービスのため不要/介護度に応じて(例:要介護3で約2.5万円、食事代宿泊費別)/どのサービスも顔なじみの職員がケアを行ってくれる。/住民票のある住民だけが利用できる。介護度が高くなると対応が難しくなることも。
住宅型
●住宅型有料老人ホーム
個室で、原則食事などの生活支援サービスのみを提供。有料老人ホーム全体の6割を占める。/0~1億円/10万~40万円+介護費/施設数が多いため、選択肢が多い。/介護サービスは個別に契約が必要。介護度が高くなると対応が難しくなることも。
●サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
日常生活や介護に不安のある高齢者が住む賃貸住宅。部屋は個室。安否確認と生活相談サービスを提供する。/0~数十万円/8万~20万円+介護費/入居一時金が不要の場合が多い。/食事、家事支援、介護サービスは個別に契約が必要。夜間はケアの専門家がいないことがある。看取り対応をしていない施設が多い。
●ケアハウス
在宅生活が困難になった高齢者向けの施設。/0~数百万円/8万~20万円+介護費/入所者の所得に応じて補助があるので、低所得者も入居しやすい。/原則として自治体住民が優先される。介護度が高くなると退去が必要となることが多い。
●シルバーハウジング
バリアフリー対応の公的賃貸住宅。既存の公営住宅などを改修しているところも。/0~数十万円/1万~10万円+介護費/生活援助員(ライフサポートアドバイザー)を配置している。/介護サービスは個別に契約が必要。
※『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本』(太田差惠子著)より作成