病気、介護、お金、片付け、空き家、お墓……。「実家」のさまざまな問題を解決するにはどうすればいいのか。「プレジデント」(2017年9月4日号)の特集から処方箋を紹介する。第2回は「寝たきり・介護リスク」について――。

親が入院したら、まずやるべきこと

「40代で、親が寝たきりになり、介護をすることになるのは『入院』がきっかけとなることが多いです」

写真=iStock.com/shapecharge

こう指摘するのは、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏だ。親が突然の病気や骨折で入院。その後、これまで通りの暮らしが難しそうという場合、何からどのように段取りをすればいいのか。

「入院したら、病院から渡された『入院時診療計画書』あるいは『クリニカルパス』に目を通しましょう。これは入院から退院までのスケジュールが記されたもので、今後の予定を立てるための必須アイテム。病院で渡してくれない場合は、もらうことができないか聞いてみましょう」

というのも、倒れて最初に入院することが多い「急性期病院」に入院できる期間は、家族が想像するよりもずっと短いからだ。

「退院後、親の日常生活に何らかのサポートが必要になりそうであれば、まずは入院中に介護保険の申請手続きをしましょう。多くの方が『介護保険が必要なら医師が勧めてくれるはず』と思っていますが、医療と介護は別ものです。介護の基本は自己申告ですから、自ら申請しないと事態は進みません。親の暮らす住所地を管轄する地域包括支援センターに行けば、申請をサポートしてくれます。申請しないまま介護サービスを利用してしまうと、自腹になってしまいます」

介護保険を利用するには介護認定が必要だ。申請は親が住んでいる市区町村の窓口や、地域包括支援センターにて行う。原則として30日以内に結果が通知されるが、それ以上時間がかかることもある。要支援1・2、要介護1~5の7段階あり、結果に応じて決められた限度額の範囲で介護サービスを利用できる。