「すぐやる」=「全部やる」は大きな勘違い

「先延ばしをやめて、すぐにやる」というと、多くの人が勘違いをするのが「なんでもかんでもすぐにやらなければ」と思うことです。

Daigo『先延ばしする人は早死にする!』(世界文化社)

ですがそれは大間違いです。そもそも、毎日やるべきことがたくさんある現代人には、全部「すぐにやる」ことは不可能ですから。

人間の脳はシングルタスクが得意と述べましたが、そもそも脳は優先順位をつけることが大の苦手です。全部やらなければと思っているうちに、結局、全部やらないというのが失敗の王道パターンです。

ならば、多くのやらなければならないこと(タスク)があるのであれば、自分を取り囲む絶対数を減らせばいいのです。

オバマ前大統領も実践、2択ルールで考える

脳はいくつものタスクを同時にやるより「ひとつずつ集中してこなす」ほうが得意といいましたが、このことに特化して実践をしたのが、アメリカのオバマ前大統領です。

オバマ前大統領は毎晩、寝る前に翌日以降の計画を立てる時間をつくっていました。そこで「明日やること」「やらなくていいこと」「明日でなくていいことをやる日」だけを決めて、事前に予定をフィックスしていたそうです。

脳にいちばん負担をかけるのは行動ではなく決断です。「やるかやらないかどうしよう」なんていつまでも考えて、決められずに「先延ばし」にしておく。あとになってまた「どうしよう」と考える――こういう脳の使い方がいちばん疲れます。

ならば、「やる」「やらない」の二択でバシッと決めてしまえば、それだけ脳の負担は減ることになります。

脳に負担をかけるのは行動ではなく決断

先延ばしが発生する多くの場合、やること全般に対して約8割が「先延ばし」、1割が「すぐやる」、1割が「やらない」という割合になるのが一般的だと思います(図1)。

そして、すぐやろうとして多くの人が勘違いするのは図2のように、やること全般に対して先延ばしをなくし、9割が「すぐやる」、1割が「やらない」、ほぼ全部「すぐやるべき」と考えてしまうことにあります。よくある『すぐやる人が成功する――』的な本でも、この割合を目指しているものが多くあります。しかし、こんなのは無理でしょう。