やらなければいけないことがあるのに、つい「あとでやろう」と先延ばしにすることはないだろうか。この先延ばしグセを放置するとお金や健康にも悪影響を及ぼすことがわかっている。だから偉人たちはさまざまな方法で先延ばしを防止している。たとえばアメリカのオバマ元大統領は「予定の2択ルール」というやり方を導入していたという。その効果とは――。

※本稿は、Daigo『先延ばしする人は早死にする!』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

先延ばしグセは1日で約3000円、年間106万円の損失

「報告書を書かなければ」と思っていても、つい別の仕事を優先して締め切りギリギリになったり、健康診断の受診を延期したり……。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/ISerg)

日常的によくあることなので特別に思わないかもしれませんが、こうした「先延ばし」を常習的にしていると、失業やお金を失うリスク、はては、健康悪化のリスクにまで及ぶことがわかってきました。

では、いったいどれぐらいの時間やお金をムダにしているのでしょうか。

アメリカのインターネットサービス会社AOLとサラリーマンドットコムが、1万人以上の労働者に労働習慣に関する調査を行ったところ一般的な労働者は1日8時間の労働のうちの約2時間(昼休みや休憩時間は別)、つまり労働時間の4分の1を先延ばしによってムダにしているという結果が出ました。それによると、1年間にムダにしている金額は最低約9724ドル(1ドル=109円として約106万円)、1日に約3000円も損失することになるというのです。

先延ばしグセはキャリアの喪失や失業につながる

年間に最低でも100万円以上を失うと考えだけでもゾっとしますが、さらに続きがあります。

カルガリー大学の研究によると、すぐやる人と先延ばし常習者のキャリアを比較した場合、先延ばし常習者は出世が総じて遅く、給料の低下、正社員から契約社員といった不本意な雇用形態の変更、さらには失業、失職になるケースが多くなることが判明したのです。

ビジネスはトライ&エラーによって成長していきますが、先延ばしをする人はぐずぐずしているうちに「時間切れ」になってしまいます。逆にすぐやる人は、もし、トライが失敗だったとしてもそれを取り戻すための余裕があり、挽回のためのチャンスが生まれます。ですから、仕事での成功率や経験が増え、先延ばしをする人より仕事上の信頼や優位なキャリアを築くことができます。

先延ばしが仕事だけでなく人生そのものに関わるといわれる所以は、この大きなデメリット、「時間のムダ遣い」にあるからなのです。