普段の通勤鞄には何を入れておくか
まず冒頭の主婦も重宝したラップは、寒さ対策としても利用できる。真冬に起こった阪神淡路大震災の体験者が語る。
「新聞紙を体に巻き付けてその上からラップを二重三重に巻くと、風の冷たさが軽減され体がぽかぽかしてきます」。
これに一工夫加えると保温効果はさらに高まる。解説するのは「セコム IS研究所」の研究員。
「空気層が保温効果を発揮するため、新聞紙は揉んでシワシワにしたほうがよりいいでしょう。また、ラップは怪我をした場合に絆創膏の代用品としても使え、かなり重宝します」
新聞紙も様々な場面で利用できる。マット代わりに床に敷く、メモ用紙、食器などの布巾や雑巾代わり、そして最後は暖を取るために燃やす。ゴミ袋も雨水溜めや水汲みなど様々な用途に使える。袋の底と両サイドに穴を開けると即席の合羽や防寒具となる。大人でも被れる45リットル用(横65センチ×縦80センチ)が使い勝手がいい。山歩きなどハイカーに好まれる手ぬぐいは、タオルよりも小さくたため乾きやすい。かさ張ってしまうトイレットペーパーは芯を抜いて押し潰して小さくし、ガムテープは電池に巻き付けてコンパクトにする。これなら非常持ち出し袋にも収まりやすい。
勤務先にも非常グッズは用意しておきたい。首都圏直下型地震の場合、650万人の帰宅難民が発生するといわれているが、革靴では疲労困憊。履きなれたスニーカーなどをオフィスに常備しておく。ほかに、前出の研究員なら、何を用意しているか。
「軽量化を考え、普段の通勤鞄には、手袋、自宅までの地図、小型懐中電灯、携帯ラジオ、非常時連絡先と手段を書いたメモを入れています」
埼玉県蕨市の、アウトドア用品を扱うスポーツ用品店では、「計画停電」が始まった翌日にランタン、小型ガスバーナーコンロ、クーラーボックス、そして保冷剤があっという間に完売したという。キャンプ用品は、そのまま避難生活に即応するグッズだ。いざというときのために、年に一度くらいは家族でキャンプ体験をすると、いい「訓練」になりそうだ。