「地下は地上より安全」とは限らない!

地下街にいるとき地震に遭遇したらどうすべきか。一般的に地下は地上より揺れが小さくて安全だといわれている。しかし阪神淡路大震災のとき、兵庫県の地下鉄・大開駅は支柱が折れて押し潰されてしまった。地下だから必ずしも安全とはいえない。とくに埋立地が多い湾岸部など、地盤が悪いところでは注意が必要だ。地震に伴う火災のリスクも怖い。火が回って煙やガスが充満しても、地下では容易に逃げられない。たとえ揺れがたいしたことがなくても、地下に留まるより地上に出たほうがいいだろう。

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地下街から脱出する際の5つのステップ

ただし、慌てて地上に向かうのは厳禁だ。実は災害時、地下のような閉ざされた空間でもっとも注意したいのはパニックに陥ることだ。2003年、アメリカのナイトクラブで火災が起きて大勢の犠牲者が出たが、調査によると、焼死した人より圧死した人のほうが多かった。これは客がパニックを起こして出入り口に殺到したためである。このナイトクラブにはほかにも非常口があり、その表示も見えていた。ところが人間は咄嗟のとき、自分が入ってきた出入り口しか頭に浮かばないらしい。一部の人は非常口から逃げて助かったものの、客の多くは出入り口1カ所に集中してしまい、惨事を引き起こすことになった。

地下にいるとき地震が起きたら、揺れが収まるのを待ちつつ、冷静に非常口の位置を確認すべきだ。法律上、非常口は60メートルごとの設置が義務づけられている。非常口が直接見えなくても、目視できる範囲に誘導灯があるはずだ。入り組んだ通路にいて誘導灯すら見えないときは、広い通路のほうに動いてもいい。ちなみに誘導灯が緑色なのは、火災で煙が立ち込めたときにも見つけやすい色だから。火災の場合も、闇雲に動くよりまずは非常口を確認しよう。