ワークスカウンシルが不採算事業の整理を円滑化する

この結果として組合間の横のつながりが強化されれば、組合の発想も欧州流に近づき、雇用の安定について一企業内を超えて業界全体・産業全体で考えるようになるだろう。それにより、ドイツのワークスカウンシルが果たしているような、不採算事業を放置することなく、労使で協力して経済合理性と十分な生活保障の同時実現を追求する状況を、わが国でも作り出すことができる。それは企業にとっても大きなプラスであり、使用者サイドの賛同も得ることができよう。

さらに重要なのは、オリジナルのドイツとは異なるが、非正規労働者の居る事業所では一人以上のその代表がメンバーとなる、という改良を加えることである。そうしたうえで、企業内労働組合は、非正規労働者も含めた従業員全体の「公正代表」となることを宣言したうえで、ワークスカウンシルにおける主導的な役割を果たすべきである。そうすることにより、労使自治によって非正規労働者の処遇改善を図る仕組みが整備される。

こうして労使対等による労使自治が本当に機能するようになれば、ワークスカウンシルと使用者が合意すれば、法律を適用除外できる部分を増やしていくとよい。それにより、各産業・各企業における最適で柔軟なワークルールが、自主的に形成される状況を創出されるであろう。

山田久(やまだ・ひさし)
日本総合研究所 理事/主席研究員
1987年京都大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)入行。93年4月より日本総合研究所に出向。2011年、調査部長、チーフエコノミスト。2017年7月より現職。15年京都大学博士(経済学)。法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科兼任講師。主な著書に『失業なき雇用流動化』(慶應義塾大学出版会)
(写真=iStock.com)
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