55年ぶりに日独の順位が逆転
「順位逆転」の第一報は、2023年秋に外国から飛び込んできた。2023年10月10日、国際通貨基金(IMF)は、世界経済見通し(WEO)10月版を公表した。IMFはこの中で、「2023年のドイツの名目GDPが、55年ぶりに日本を抜いて、世界第3位になる」という見通しを明らかにした。
IMFはそれから約6カ月後の2024年4月21日に公表したWEOの中で、「ドイツ第3位・日本第4位」を確認した。
IMFが発表した統計によると、ドイツの名目GDPは4兆4574億ドルで、米国・中国に次いで第3位。日本は4兆2129億ドルで第4位に転落(図表1)。ドイツの名目GDPは、日本を5.8%上回った。ドイツの名目GDPは前年比で9.1%増え、日本は前年比で1%減った。
1968年には日本の名目GDPが当時の西ドイツを追い抜いて、世界第2位になった。日本の名目GDPは2010年に中国に追い抜かれて世界第3位に転落したが、それから13年後の2023年には第4位に下落した。55年ぶりに、日本とドイツの順位が入れ替わったのだ。
日本は来年、インドにも抜かれる見通し
内閣府もIMFの最初の発表から4カ月後の2024年2月15日に、「日本の2023年の名目GDPは591.4兆円で、ドルに換算すると4兆2106億ドルだった。ドイツ(4兆4561億ドル)よりも少なくなり、第4位になった」と発表した。
日本政府が2024年2月に発表したドル建てのGDPがIMFの2024年4月の発表と異なる理由は、ドルへの交換レートの違いによるものと思われる。
ちなみにIMFは、2025年に日本の名目GDPがインドにも抜かれて、世界第5位になると予想している。ドイツの未来も決してバラ色ではない。2027年にはドイツもインドに抜かれ、世界第4位になる。つまり日独ともに沈んでいく。