ストで全国の公共交通機関が機能不全に
現在DBの社員数は約32万人。しかしDBでは今後定年退職する社員が増えるので、今年1月には2万5000人の社員を募集する方針を打ち出していた。
経営側は「シフト労働者を週休3日制に移行させた場合、労働力不足がさらに悪化する」として、GDLの要求を拒否した。このため運転士たちは警告ストに踏み切ったのだ。
GDLは2024年1月24日にも、4日間にわたりストを行った。2月2日には、バイエルン州を除くドイツ全域で地下鉄、バス、市電、近距離鉄道で働く職員がストを実施。2月1日には空港の安全検査員、2月7日にはルフトハンザ航空の地上勤務員がストを行い、空の旅にも乱れが出た。
ちなみにドイツ最大の産業別労組IGメタルも、鉄鋼部門の労働者の週労働時間を35時間から32時間に減らすことを要求している。週休3日制の要求は、鉄道以外の部門にも広がりつつある。
GDLは2023年後半から2024年前半に合計6回のストを実施した結果、交渉の勝者となった。経営側は、シフト勤務の運転士の労働時間を徐々に減らしていき、2029年にはGDLの要求通り35時間にすることに合意した。
市民も「労働者の権利だ」と我慢している
ストライキが少ない日本とは異なり、ドイツの労働組合はしばしばストを実施する。列車の運転士に限らず、市電・バスの運転手、航空管制官、航空会社のパイロット、郵便会社の社員らも毎年のようにストを行う。
日本人の私の目から見ると、「よく客が我慢しているな」と感心させられる。ドイツは元々日本に比べるとサービスの水準が低いので、ストライキによって不便が生じても我慢する人が多い。また、「労働者にはストライキによって賃上げや労働条件の改善を要求する権利がある」という意識も、市民の間に浸透している。
労働組合が日本では考えられないほどの影響力を持っているため、労働者による実力行使が多発する。