龍馬と勝海舟が好相性だったわけ

次元が同じなものの、脳の左右は異なる場合の組み合わせはどうでしょうか。相性が悪いのは、3次元どうしで、典型的なのが豊臣秀吉(右脳3次元)と家康(左脳3次元)です。秀吉は天下を取って以降、物事の本質を掴み、目標に向けて合理的に行動していく家康を最も恐れていました。また、桐野利秋(右脳3次元)は冷徹な大久保利通(左脳3次元)を前にすると、言葉が出なかったそうです。

2次元どうしも同じです。明治維新後の佐賀の乱で敗れた江藤新平(左脳2次元)は、西郷隆盛(右脳2次元)を頼って薩摩に行きましたが、西郷は協力を拒否しました。左脳2次元特有の原理主義的な、理屈は正しいが人を動かすことのできない江藤に対して、西郷は不信感を抱いていたのでしょう。

一方、好相性なのが左脳3次元と右脳2次元の組み合わせで、たとえば勝海舟(左脳3次元)と坂本龍馬(右脳2次元)。勝は当時の日本の置かれた状況の本質を掴んでいた左脳3次元タイプで、官軍にも幕府にも肩入れしなかった。一方の龍馬の一番の特徴が右脳2次元の情の深さで、かわいげのあるところが好かれたのでしょう。

職場の上司や仲間のタイプがわかれば、日頃の人間関係の理解も深まり、マネジメントに役立つはず。ぜひ活用してください。

篠浦伸禎
都立駒込病院脳神経外科部長
1958年生まれ。東京大学医学部卒業。2009年から現職。脳の覚醒下手術でトップクラスの実績。『人に向かわず天に向かえ』『驚異の「ホルミシス」力』など著書多数。
(構成=田之上 信 撮影=加々美義人 写真=iStock.com)
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