※本稿は、橋本努『「人生の地図」のつくり方』(筑摩書房)の一部を再編集したものです。
なぜ「正反対の人」に惹かれてしまうのか
人間というのは不思議な存在で、自分とは正反対の人に惹かれてしまうようである。
例えば音楽が趣味で、ショパンを敬愛している2人がいたとしよう。1人は思考型の男性で、もう1人は感情型の女性である。2人は相思相愛の仲であるが、男性はこの女性が、マズルカとワルツの区別もつかないのに、どうしてショパンが好きなのか分からないと思っている。反対に、この女性は、音楽そのものを享受することが大切であって、この男性のように、分類や解説をすることは本質的なことではないと思っている。
2人は、まったくタイプが異なるのだけれども、しかし互いに惹かれあっているようだ(*1)。あなたは、どのようなタイプの人間だろうか。岡田斗司夫著『人生の法則 「欲求の4タイプ」で分かるあなたと他人』(朝日新聞出版)は、人間の欲求のタイプを、「注目型」「司令型」「理想型」「法則型」の四つに分けて考察している。
「注目型」は、注目されたいタイプである。「司令型」は、指導力を発揮したいタイプである。「理想型」は、理想を追求するタイプである。そして「法則型」は、ルールを重視するタイプである。一見するとこれらのタイプは、脈絡のない分類に見えるかもしれない。けれども、岡田が独自に作成した「判定テスト」に答えていくと、自分がどのタイプの欲求をもった人間なのかが判明する仕組みになっている(*2)。とても興味深い分析である。
(*1)河合隼雄(2009)『ユング心理学入門 〈心理療法〉コレクションI』岩波現代文庫、32-33頁
(*2)判定テストの改訂版は、以下のサイトを参照。
http://blog.freeex.jp/archives/51332751.html?ref=popular_article&id=3993657-22234011