「他者志向」「自己志向」はさらに分類できる
以上の考察は、私たちの人生について興味深い洞察を与えてくれるだろう。とくに他者との付き合い方について、有益なことを教えてくれる。
例えば、注目型は、司令型にあこがれるのだが、司令型は反対に、注目型を軽蔑している。これはつまり、自分にあこがれる人は、自分が軽蔑するタイプの人だということである。他者との付き合い方に注意したい。その一方で、疑問も湧いてくる。例えば、自分はどちらかと言えば他者志向の人間であるとして、注目されることにも司令することにも、あまり関心がないという人もいるのではないか。
例えば、注目されている人を追いかけたいとか、指導力のある人に従いたいという人もいるのではないか。あるいは、どちらかと言えば自己志向型であるとして、法則にも理想にもあまり興味がないという人もいるのではないか。自主的に行動するタイプではないという人もいるのではないか。
そのような疑問に答えるために、岡田斗司夫の理論を改変して、「欲求の8類型」を理論化してみたい。まず、岡田の理論と同じように「他者志向」と「自己志向」に分けてみる。正確には、この二つの類型は、「親密な他者とのかかわりを大切にする志向」と「あまり親密ではない他者とのかかわり(広い社会)のなかで、自分と社会のかかわりを大切にする志向」の違いだと考えられる。
他者を大切にするといっても、どういうタイプの他者を大切にするかについて、異なる志向をもっているといえる。
「上下関係」や「目標」の有無でタイプが変わる
他者志向のタイプは、さらに四つのタイプに分けることができる。自己志向のタイプも、さらに四つのタイプに分けることができる。すると合計で、八つのタイプに分けることができる(図表2および図表3を参照)。
他者志向タイプの人は、必ずしも上下関係のある人間関係を望んではいない。対等な人間関係のなかで生活したいと思っている人もいる。また、対等な人間関係にもいくつかのパタンがある。ここでは、「明確な目標」がある場合とない場合とに分けてみよう。
例えば、ゲームやスポーツなどで、自分と能力の近い人たちと競い合う場合、そこには「勝利」という明確な目標がある。あるいは、環境保護運動やボランティア活動をしたり、趣味の写真サークルで活動するような場合、私たちは明確な目的を追求するなかで、張り合いをもって協力し合う。このような活動に生きがいを感じる人たちを、ここでは「張り合い型」と名づけてみよう。