しかし「渦」は違います。いつインプットしてもいいし、いつアウトプットしてもいい。インプットとアウトプットに厳密な相関関係がなくても構いませんし、タイムラグがあっても構わない。1のインプットに対して10のアウトプットでもいいし、100のインプットに対して1のアウトプットでもいい。だからこそ渦巻き思考は自由だし、不測の事態にも対応できます。これが、情報革命の起きた現在に求められる思考なのです。

渦巻きは「来るものを拒まず」ですから、インプットに害毒が混じっていようが無価値に見えようが、広い心で構わず取り込みます。

また、渦は常に対流しているので、しばらく泳がせた後に明らかな害毒だと判明したら、その時に排出すればいい。泳がせている間に意外と役に立つと感じたら、そのまま滞留させて活用できるチャンスに生かせばいい。エクセルにはできない芸当です。

繰り返しになりますが、渦は「形態」ではなく「状態」。ある形態に固執するのではなく、来るもの拒まず、去るもの追わず。フレキシブルで、オープン。

渦に巻かれるようにして生きる。それはまさに、博文のような生き方を言うのだと思います。

人生を「バラエティ番組」のように作る

ものごとをエクセル的に決め込んでしまうと、予想外の事態に対応できず、突発的な計画変更を受け入れることができなくなります。

「いい大学を出て、いい会社に入って、何歳までに結婚して、子どもを2人作って……」などという綿密な計画を立てたところで、もし少しでも達成できなかったとしたら、その瞬間、一気に落胆してしまいます。

そして、自分の人生が不完全なものだったという失望を、一生引きずることになるでしょう。

そうではなく、いつ終わるかわからない人生を、毎日毎日精一杯生きる。そういうスタンスの人にこそ、運はやってくるのです。

僕は長らくバラエティ番組を作ってきました。バラエティ番組は、「来週何やろう」「今度の番組何やろう」と、そんなに計画を立てずに、その日、その日でいろいろ情報を収集し、企画を立て、作っています。

角田陽一郎『運の技術 AI時代を生きる僕たちに必要なたった1つの武器』(あさ出版)

この連載でも「連絡は早めに、決定は遅めに」の開運テクニックを紹介しましたが、僕自身、ギリギリまで物事を決めません。そのほうが確実にいい結果が待っているからです。

「次のキャスティング、まだ決まってないのかよ!」
「明日のロケ準備できてんの?」

そんな怒号が飛び交う現場でこそ、ワクワクするおもしろいものが日々生まれるのです。

来るべきAI時代を生きる僕らに必要なこと。それは、「渦巻き思考」という開運OSと「バラエティ番組を作るごとく人生をとらえる」スタンスを武器とし、自ら運を開いていくことなのではないでしょうか。

角田陽一郎(かくた・よういちろう)
バラエティプロデューサー
1970年、千葉県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。1994年、TBSテレビ入社。『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』『オトナの!』などの番組を担当。2016年にTBSテレビを退社し、独立。著書に『13の未来地図 フレームなき時代の羅針盤』(ぴあ)、『「好きなことだけやって生きていく」という提案』(アスコム)などがある。
(写真=iStock.com)
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